FMWのすべてがわかるおもちゃ箱のような一冊

――FMWの旗揚げから最初の川崎球場までの約2年間を描いたドキュメントなんですが、いきなり最後に「初期FMW人名辞典」なる付録までついてきてびっくりしました。

小島 全部、書き終わったあとに「あぁ、あの人のことを書けなかった」とか「本文中になんの説明もなく人名を出しちゃったけど、注釈があったほうがいいよな」という話になって。話の大筋を追っていくと、細かいところを触れなかったりするじゃないですか? それで担当編集から「こういう企画はどうですか?」と提案があって、それで行こう! と。そもそも担当編集からは「本当にひとことコメントでいいですよ」と言われていたんですけど、気がついたら、15ページにもなっていた(汗)。

じつはあの辞典、半日でワーッ! と書いたんですよ。ただマニアックすぎて、あの辞典にも注釈をつけなくちゃいけないレベルになっちゃいました(笑)。そこまでやると収拾がつかなくなるのでやりませんでしたけど、それこそググっても出てこないような話が山ほどありますから。

――まさに「なんでもあり」ですね!

小島 読後感を考えて、というのもあります。W★ING本は団体が潰れる、という明確なゴールがあったんですけど、今回はFMWが幾多の危機を乗り越えて、ついに川崎球場を満員にした、というところで終わってしまう。それはそれで美しい物語ではあるんですけど、メインイベントのあとにあえて怪奇派が続々と登場するバトルロイヤルを組んでみました、というノリで。

本文中にもたくさん写真を散りばめるようにしました。「あぁ、こんなレスラーいたね!」という感銘は、文章よりも1枚の写真のほうが雄弁なので。FMW旗揚げ当初に「おもちゃ箱をひっくり返したようなプロレス」と評されたんですが、この本もまさしくおもちゃ箱ですよ。平成モノなのに、なんだかアンティーク感漂うおもちゃがいっぱい載っています。

――この本が出版されるタイミングで、FMWの旗揚げに関わったターザン後藤選手、そして空手家の青柳政司選手の訃報が続々と飛びこんできました。

小島 後藤さんには取材も申し入れたんですけど……そのあたりの詳しい話は本にもしっかり書きましたので、ぜひ、読んでくだされば幸いです。本当は今年の5月5日に出版するつもりだったんですけど、僕が体調を崩してしまって7月に延期したんですね。そのあいだに後藤さんが急逝されて……正直、そのあとで全体を一度、書き直しました。本当に後藤さんと対話しているような気持ちになって、こういう表記でいいのかな、こういう説明でいいのかな、と。

今回は、当時のオフィシャルカメラマンだった平工幸雄さんに写真を提供していただいたんですけど「家族感があるオフショットが欲しいです」とリクエストしたら、バスでの移動中に撮った集合写真が送られてきて。その写真の中央にはターザン後藤がいて、大仁田厚はちょっと控えめに立っている。その理由は本に書いたんですけど、あの写真を見たことで、この本の方向性が固まりましたし、読者の方にもいろいろと感じ取ってほしいですよね。

――その写真を今回、特別にお借りして、こちらにも掲載しましたが、皆さんいい笑顔ですよね。たしかに後藤さんと大仁田さんの立ち位置が珍しい一枚です。

小島 すべての文章を整えて、さぁ校了しましょう、というタイミングで、今度は青柳館長が亡くなった、というニュースが飛びこんできて。もう感情がいろいろ追いつかなくなっていましたけど、「はじめに」のラストにちょっとだけスペースが空いている、というので急いで追悼文を書いて差し込みました。もう、本当に衝撃的すぎて言葉もないんですが、この場をお借りしてご冥福をお祈りいたします。

▲小島氏が「この1枚がこの本の方向性を決定づけた」という集合写真。大仁田厚が中央にいない、というのはたしかに珍しい構図。だが、これこそがFMWが上昇気流に乗りはじめてきたときの「知られざる日常風景」だったという。その意味とは?(写真:平工幸雄)

――「おわりに」では、小島さんと大仁田厚、そして、ももいろクローバーZの佐々木彩夏さん、高城れにさんの記念写真という「お宝フォーショット」も登場します。

小島 昨年の大晦日に『ももいろ歌合戦』で大仁田厚と一緒になって。あの写真は、ももクロのマネージャー、川上アキラさんが撮ってくれたんですよ。なんかもう、この一枚が俺の人生の縮図になっているな、と思って、ももクロ側から承諾をもらって、本の最後に掲載させてもらいました。いつのまにかFMWを取材してきた時間よりも、ももクロを取材している時間のほうが長くなっていて、なんか不思議な感覚ですよね。

――8月7日には闘道館での出版記念トークイベントも決定しました。

小島 はい。ゲストは、旗揚げ戦から当時は空手家として参戦していた松永光弘さん、女子部のエースだった工藤めぐみさん、そしてリングアナとして旗揚げ戦でコールしている大宝拓治さん。このメンバーが一堂に会してのイベントは今回が初です。相当、レアな顔合わせだし、それこそ本にも出てこなかった秘話が飛び出すんじゃないか、と。いや、すでに軽く打ち合わせをした段階で「えっ、なにそれ?」というエピソードが続々と出てきているので、この本を読んでから参加していただければ、相当、楽しめるんじゃないかな、と。だって〇〇が〇〇を〇〇しようとしていたとか……あーっ、今のところは全部、伏字で! 詳細は、ぜひトークショーに足を運んで確認してください!


【先行発売】
書泉グランデ、書泉ブックタワーの両店では7月23日から発売記念フェアを絶賛開催中!
https://www.shosen.co.jp/fair/189685/ 
【トークイベント】
『FMWをつくった男たち』出版記念トークイベント
ミスターデンジャーvs邪道姫vs幻の「あの男」!
語ろう! オレたちしか知らない初期FMWの素晴らしき世界!

新日本プロレス、全日本プロレス、そしてUWF……。巨大な“メジャー”が幅を利かせていた平成元年のプロレス界に突如現れた新興勢力、FMW。わずか5万円で旗揚げされたというこの団体は、異種格闘技戦、過激なデスマッチ路線で瞬く間にファンを獲得。誕生からわずか2年足らずで、川崎球場に3万人を大きく超える大観衆を集めてみせた。
しかし、旗揚げ当初は悪戦苦闘の連続だった。そんな状況からFMWはプロレス界に輝く奇跡をなぜ成し遂げることができたのか? ミスターデンジャー、邪道姫、そして“幻のあの男”こと元リングアナの大宝拓治が、知られざる初期FMWの真実を語り尽くす!
参加費には、『FMWをつくった男たち』(小島和宏著、株式会社彩図社、定価1,760円)の書籍代が含まれます。書籍は出演者4名の直筆サインを入れた状態で、イベント当日お渡しいたします。

【日時】
2022年8月7日(日)
12:00開場/12:15開始
【会場】
闘道館
【会費】
5,000円(当日は+500円。本体1,760円の書籍代込み・出演者&司会4名の直筆サイン入り)
【出演者】
松永光弘(世界で初めて有刺鉄線デスマッチを闘った元・空手家)
工藤めぐみ(世界で初めて電流爆破のリングに上がった元・女子プロレスラー)
大宝拓治(FMW採用第1号従業員となった元・リングアナウンサー)
【司会】
小島和宏(『FMWをつくった男たち』著者、元『週刊プロレス』FMW担当記者)
【申し込み・問い合わせ】
・彩図社(TEL03-5985-8213/top_page@saiz.co.jp)へご予約、お問い合わせをお願いいたします。

ご予約の際は、以下の内容をお伝えください。
1.イベント名:8.7「『FMWをつくった男たち』」出版記念トークイベント
2.氏名:
3.当日連絡がとれる電話番号:
4.申し込み人数:

【注意事項】
※参加費をお支払いいただいた順に整理券をお配りいたします。(店頭で現金のみの精算)
※開場時間に整理番号順にて、ご案内させていただきます。
※トーク中の動画の撮影、録音はご遠慮ください。
※感染症予防のため、マスクを必ず着用の上でご参加ください。入場時に検温とアルコール消毒のご協力お願いします。また出演者との握手などの直接接触はご遠慮ください。
※当日はソーシャルディスタンスを取った上での開催となりますので、通常よりも定員が少なくなります。
※新型コロナウイルス対策に関する状況によって、延期または中止する可能性があることをご了承ください。