見た目もメニューも古き良き喫茶店

撮影で街を歩いていたら喫茶店を見つけました。この街をゆっくり歩くのも初めてだし、この店の存在だって知らなかった。街を歩いていたら突然、目の前に現れたから入った。ただそれだけの縁です。

喫茶店とは、それくらいの距離感でこれまで付き合ってきました。意図しない出会いだとしても、入ってみたら案外と居心地が良く、こういう店が家の近くにあったらいいなぁと思う。でも、二度とその店に訪れることはなかったりする。一期一会。喫茶店とは、人生における人との出会いに似ていると思うことがあります。

▲多くの男性客がくつろいでいました

この日、私が訪れたのは月島です。イーストトーキョーにあるのは知っていたけど、はっきり言ってしまえば「もんじゃ」のイメージしかなかった。でも、1日歩き回ったら下町の風情を至るところに残した、本当に素敵な街だと思いました。

たとえば、こんなレトロな喫茶店が大通りで元気にやっている。「ライフ」=人生という名の店のドアを開けたら、初老の男性客ばかりが目に入り、強烈なタバコの香りが鼻腔をつく。ただただ懐かしい。どこの街にもあったこういう喫茶店は、いったいどこに行ってしまったんでしょう。

▲素敵なレザー調のシート

この日の都内は、35度近い気温を記録したそうで、外を歩いているだけで倒れそうになりました。少しだけ余分な肉をまとった私の体からは、汗という名前でどんどん水分が失われていきます。だから水分補給をまめに行わないといけない。

途中の銭湯でひと風呂浴びて、この喫茶店を見つけたときは夕暮れで、まだまだ仕事はあったけど、軽く休憩をしたいなと思ってね。仕事仲間の顔を見たら、みんな同じことを思ってたようで、私たちは迷わずこの店のドアを開けたという次第です。

▲ああ、ビール

早く水分補給を! と心の中で叫びながら、私たちはメニューを開きます。気がついたらずいぶんと水分が体から失われていたようで、頼んだ品が注文するまでがとても長く感じました。それでも1分かからなかったんじゃないかしら。

ドリップの必要があるコーヒーと違って、瓶ビールはその点がいいんです。しかし、酒には脱水効果があるから気をつけろ! なんていう人がいますが、おかしな話だと思いませんか。酒を飲んだら、おしっこに行きたくなってどんどん体内の水分が失われる? だったら、それ以上に酒を飲めばいい。違いますかね。