最近は「地政学」関連書籍の動きが良い

――hontoさんならではの販促キャンペーンなどをお伺いできますか?

宮崎 去年ぐらいからなんですけど、毎月〇〇セールという形で月替わりにテーマを変えて、出版社横断のセールをしています。1回やると何千~1万冊ほどが対象になってくるんですが、そういった大規模な独自セールを行っているのは、hontoぐらいかなと思います。

――独自セールはやってるし、出版社から提案されるセールもやってるし、毎日がセールって感じですね。この前も「読書一生分」のポイントが当たるキャンペーンに参加させていただきました。

宮崎 ありがとうございます。たぶん、年間の数ある施策のなかでも、一番認知度が上がるオリジナルキャンペーンだと思います。

――hontoならではの売れてる本や、売れているジャンルはなんでしょう?

宮崎 自分の担当ジャンルで言うと、ミステリーSF小説や新書は企画を組むと売れて、ライトノベルはよくまとめ買いをしていただいてます。ライトノベルはコミックと同じで続き物が多いのですが、hontoの会員さんは1巻目無料よりも、セットが割引になっているほうが食いつきがいいような気がしています。かなり高額になりますが、まとめて買われる方が結構いらっしゃるんですよね。うちならではというか、電子ならではかなと思います。

――例で上げていただいたのが、『13歳からの地政学』ですね。

▲13歳からの地政学(東洋経済新報社:刊)

宮崎 最近の事例では、地政学関連書籍の動きが良いので、この状況下でできることはないかと出版社の方と話をして、「今こそ世界を知る」というテーマで施策を行いました。

――たしかに、このタイトルは売れている印象があります。私も、そういうキャッチコピーが気になってクリックしたら、そのジャンルのタイトルが集まっていて、たくさんカートに入れた覚えがあります。

「読みたい本を、読みたい時に、読みたい形で」

――これから一番取り組んでいること、これから取り組みたいことをお伺いできますか。

宮崎 ライトノベルのファンを増やすことと、ジャンルの強化ですね。巻数の多いシリーズもたくさんあるので、まずは1巻目を手にとってもらえるような仕組みづくりや、きちんとリコメンドしたものを買ってもらえるような信頼づくりをしていきたいと思っています。施策にもいろいろ挑戦したいですね。

――小説のランキング見ると、ライトノベルがほぼ占めてる印象はありますが。

宮崎 そうですね。ただ、もうちょっとhontoで買う理由みたいなものが必要なんじゃないかなと思っています。

――施策というと、プレゼント施策とかですか?

宮崎 そうですね。出版社の方と一緒にやっていけたらいいなと思います。さっきの実物プレゼントの施策もそうですけど、hontoだからできることがあると思うんです。そういったところで出版社の方と、できれば密にお話して、いろんな企画が実現できればいいなと思っています。

――では最後に、電子書籍の今後について伺いたいと思います。

宮崎 コロナ禍で電子書籍の利便性に気付いた方も多くいらっしゃると思います。電子書籍は、ずっと伸びてきている印象をお持ちの方が多いかと思うんですが、僕自身はまだまだ広がっていない印象があります。電子書籍を食わず嫌いでいる方にも、共食いじゃなくて共存できるんだよっていうところを、なんとか伝えていきたいと思っています。

hontoでは「読みたい本を、読みたい時に、読みたい形で」提供することを目指しているので、好きな作家の小説は紙で買って、すき間時間で読みたいライトノベルやコミックは電子で買うなど、ご自身のライフスタイルに合わせて使い分けてもらうことで、電子書籍だけでなく出版業界全体の活性化につなげていきたいと考えています。

――通販もリアル書店も電子もやっているhontoさんに、ぜひ紙と電子の共存を牽引していただきたいです。ありがとうございました!