リアル書店には書店員さんがいます。そして、電子書店にも“顔が見えない”書店員さんがいます。なかなか実態が見えない電子書店の“中の人”に、アレコレ聞いてみる『教えて!電子書店の“中の人”』。今回は、ハイブリッド型総合書店「honto」の宮崎さんと鈴木さんにインタビューしました。

▲ハイブリッド型総合書店honto

書店員のガチプライベート本棚を公開しました

――自己紹介からお願いします。

宮崎 宮崎と申します。一昨年の11月に入社をして、今はhontoで小説とライトノベルとビジネスのジャンルを担当してます。前職は出版社で出張営業で、全国の書店さんを回っていました。編集業務にも携わっていたので、そのときは初心者向けのビジネス書などを担当していました。

▲hontoの宮崎さん

鈴木 鈴木と申します。私は去年の5月に入社したばかりで、ちょうど1年経ったところなんです。前職は、リアル書店で書店員をしておりました。福岡の書店と、東京の書店の立ち上げをやらせていただいて、店頭にも立っていたという感じですね。今はhontoで実用書を担当しております。

▲hontoの鈴木さん

――それではhontoの紹介をお願いします。

宮崎 「honto」は、ネット書店(本の通販ストア、電子書籍ストア)と、丸善、ジュンク堂書店、文教堂などのリアル書店を連携させた総合書店です。2012年5月にサービスを開始し、2022年5月でサービス開始から10周年を迎えました。

――10周年おめでとうございます!

宮崎 ありがとうございます。

――サイトでは10周年を記念して、特設ページが作られていましたよね。そのなかで「書店員のガチプライベート本棚」というページを拝見しまして、もしかして今日のお二人なのかなと思っていたんですが……。

宮崎 私の本棚が「小説・ラノベ・ビジネス担当」です。

鈴木 私の本棚が「実用書担当」です。

――担当ジャンル以外もラインナップされているところに、“ガチ”さを感じます。

宮崎 この企画は、以前から公開していたんですが、コメントは100文字制限なんです。思いを伝えるには100文字って意外と少ないので、今回は10周年ということもあり、長めにコメントしているスペシャルバージョンの『この10年で出会った私の○○な5冊』も公開しています。

――ちょっと勇気が入りますよね、自分の本棚を見せるって。

宮崎 そうなんですよね。

――人となりが知れちゃう気がします。それだからこそ、逆に今回のインタビューのように、普段は姿が見えない“中の人”の血肉がわかるというか、どんな人が運営してるのかがわかる企画ですね。

宮崎 以前にインタビューしてもらった井上も書いてるので。

――もちろん「BL担当」ですよね?

宮崎 「BL担当」です。

――やはり! 愛がにじみ出ていますね。

「通販・電子書籍・リアル書店」の3チャネル

――書店の特徴やアピールポイント、他書店との違いなどを教えてください。

宮崎 hontoは、通販と電子書籍とリアル書店の3チャネルがあるということで、共通IDによりリアルとネットの利用情報を一元管理して、ポイントが貯まる・使える「hontoポイント」や、購買・蔵書管理ができる「My本棚」が非常に強いメリットかと思います。

例えば、電子を買ったときに貯まったポイントで紙の本を買えること。また、紙で買っても、通販で買っても、電子で買っても、一つの本棚で一元管理できます。この機能はお客様の利便性が非常に高いんじゃないかなと思っています。またBL専門フロアの「すわんぷ」なども、他の書店には無い特徴かなと思います。

――hontoさんのユーザーは、ビジネスマン・中高年くらいの年齢層で、特に男性が強いイメージがあるんですが、このBL専門の「すわんぷ」を作ったことで、客層に変化はありましたか?

宮崎 どうですかね。実際、女性の方がお客様としては多いんです。だいたい40~50代あたりの女性が一番の顧客層になってまして、他の書店よりは年齢層が高めですね。「すわんぷ」も、honto10周年のタイミングで2年目だったんですが、この2年でかなり訪問してくださる方が増えたのは数字に出ていているので、私たちもすごく喜ばしいなと思ってます。

――紙も電子も利用するユーザーとしては、「読割50(よみわりごじゅう)」のサービスがすごく助かってます。〔hontoポイントサービス実施店、または通販で、対象の紙の本を購入してから5年間、同一タイトルの電子書籍が50%OFFで購入できるサービス〕 紙書籍と電子書籍で、同じタイトルを買うことが多いので、お得に購入できて、本棚の管理も一緒にできるのがうれしいです。

宮崎 逆にお聞きしたいんですが、読むのは電子書籍ですか?

――好きなタイミングで、繰り返し読むのは電子書籍です。紙書籍は保管用、コレクションに近いですね。あと「honto with」も、頻繁に利用させていただいてます。

宮崎 私の地元は、丸善もジュンク堂もちょっと遠いところにあるので、あまり使えないのですが、できるだけ丸善・ジュンク堂で買おうと思って「honto with」で探して、ないときに地元の書店に行って、と使い分けています。

――取り置きがしやすいのも魅力ですよね。私は移動の隙間などでさっと買いたいので、「honto with」で取り置きをしておいて、書店内で迷うことも、レジで並ぶこともなく、すぐに購入できて助かっています。

宮崎 本棚と言えば、「シークレット本棚」という機能もつきました。購入したけど隠しておきたい、いつもの本棚に入れたくないタイトルを、非表示にすることができます。