中毒性の高いインパクトのあるネタで、お笑いフリークから愛され、2019年には『水曜日のダウンタウン』の企画「新元号当てるまで脱出できない生活」に登場して広く知られる存在となった、ななまがり。

今春行なった、新ネタ28本を書き下ろして4公演で全く異なる4つの単独ライブ『ななまつり二〇二二』が、DVDに全公演収録されて発売されることになった。

※本記事は『+act.(プラスアクト)2022年11月号』(ワニブックス:刊)より、一部を抜粋編集したものです。

初回限定特別版の和牛さんを見てほしい

――挑戦的な単独ライブがDVDになる今の気持ちをまず聞かせてください。

初瀬悠太(以下、初瀬) うれしいですよね。いつか出したいなという気持ちはあったんですけど、時代が変わってDVDを出せる人が少なくなって。あぁ、もう叶うことはないのかなと思っていたんで。

森下直人(以下、森下) 同じく、僕もDVDいいなと思っていて。でも、ここからめっちゃ売れても時代的に出すことはないんかもなと思ってたんで、めちゃくちゃうれしいです。

初瀬 初回限定特別版に入ってるゲストコーナーも、めっちゃ盛り上がったんで、それも(映像として)残してもらえるのがうれしいですね。

森下 うれしい……たまらん!

――拝見しましたが、森下さんが漫才中にネタを飛ばしたのも、しっかり入ってましたね(笑)。

初瀬 あはは! カットしますかって聞かれたんですけど、しませんって言いました。あれもライブの醍醐味ですから。

森下 単純に(聞かれたタイミングで)ヘトヘトやったっていうのもあるよな。ライブ後やったんで。

――4公演オール新ネタ28本。しかも4日間1公演ずつではなく、2日間2公演ずつっていうのが、なんと言うか、狂気ですよね。

初瀬 今振り返ってみると、ようやったなって。もう1回やれって言われたら、正直めちゃくちゃしんどいですから。

森下 ほんまに大変でした。単独ライブをやるたびに毎年、寿命縮んでるなと思うんですけど、あれだけのネタ作りと練習……ストレスで1年くらい死ぬのが早まったやろうなと。でも、それだけのリスクを冒した価値があったなとも思ってます。

――ネタ作りも通常の単独ライブより早めに取り掛かられたんですよね。

初瀬 決まったんが年またぎ、ちょい前くらいやったんで、4カ月間くらいずっとネタを作ってて。

森下 昔よりかは、お仕事をいただけるようになって、1日5公演の劇場出番がある日もしょっちゅうなので、ライブとライブの隙間でネタを詰めて……ノイローゼになりそうでした(笑)。(初瀬のほうを見て)もう過ぎた話やし、言ってもいいか。僕らって単独ごとに毎回、言い争いからの大ゲンカをようしてたんです。で、今回4公演やるということは4回、大ゲンカするんじゃないかと思って、最初に切羽詰まるやろうけど、ケンカはやめようって取り決めたんです。なのに、単独の前日に大ゲンカしてしまって。

初瀬 そうなんですよねぇ。

森下 お互いがちょっとピリピリして迎えた当日、僕はまだ怒ってて、しこりが残ってる状態で会場に向かったんですけど、設営するスタッフさん30人くらいがトントン作業してるのを見て、俺らだけのことだけじゃないんだなと涙が出そうになりましたし、ロビーの様子が見えるところを通ったら、僕らのグッズを楽しそうに抱えている人たちが見えて。ちょっと揉めたくらいで腹立ってた醜い心で会場に来たことを後悔して、“うわぁ、頑張らんとな”って思いましたね。ほんまにちょっと泣きました。

初瀬 (笑)。僕は引きずるタイプじゃないんで切り替えてましたけど、スタッフさんたちにはめっちゃ感謝してます。

森下 マジで全員、めっちゃ好きになりました。初回限定特別版にゲストコーナーが入ってるんですけど、和牛さんがよく出てくれたなって思っていて。以前から、もちろん関係性はあったんですけど、むちゃくちゃなことをやらせて、すぐルミネに帰したんですよ(笑)。DVDに残すのは断られるやろうなと思ってたら、まさかオッケーしてもらえるなんて……ぜひ買ってほしいです。和牛さんにあんなことをやってもらったんやから、後輩に頼まれたときは絶対になんでもやろうと決めました。