愛する人たちを大事にするファミリーマン
「良い人」の必須条件とも言えるのが、家族との良好な関係性。今回、ジャッジ選手がHR記録を追求しているあいだ、9月下旬の試合のほとんどをご両親が観戦し、その様子が毎試合、放送で大々的に取り上げられました。
じつは、ジャッジ選手はご両親とは血縁関係にはなく、生誕直後に養子として迎え入れられています。ご両親は白人であるのに、ジャッジ選手自身は白人と黒人のハーフであったため、本人が10歳を迎えて間もないタイミングで、自身と親の容姿の違いに違和感を持ち、親に直接聞くことにします。
それに対し、両親は事実を隠すことはせず、率直に養子だと知らせた際、小学生だったジャッジ少年は「生みの親は関係ない、育ててくれた二人が本物の親」と冷静に返事をし、そのまま野球をしに外へ遊びに行ったとのことです。本当に10歳だったのかを疑う、冷静さをまとう言動ですが、やはり幼少期から器の大きさが伝わる話だと思います。
そして、(今や旧)アメリカンリーグシーズン記録に並ぶ61HRを放った際、そのボールを母のパティにプレゼントしました。試合後の記者会見でも家族や友人へ多大な感謝を述べ、小学生時代から周りの人を大切にするという軸が、ずっとブレていないことが改めて伺えました(ちなみに、62HRのボールはファンがキャッチをし、ジャッジ選手には返還されていない模様。今後の行方が気になるところですね……)。
謙虚さも兼ね備える優しい巨人
そして、これだけ圧倒的な成績を残し、歴史的な記録を更新するなかでも、ジャッジ選手が記者会見やインタビューではなるべく自身の話を避け、とにかく周りを褒める圧倒的謙虚さを誇る聖人です。
ホームラン記録に迫る最中は、さすがに自身の話を避けられないものの、「素晴らしい先駆者と同じ土俵に立てて光栄です」と記録を抜いたルースやマリスを称えつつも、「個人の記録より点を入れること、後続の打者につなげること、試合に勝つこと、ワールドシリーズを優勝することのほうが大事」と、何度もチームプレーを強調してきました。
普段から活躍した試合では、「打順が前の選手が塁に出てくれたからタイムリーを打てた」「ピッチャーが頑張って投げてくれたおかげで勝てた」と、ほかの選手に常に花を持たせており、成功に成功を重ねても天狗にならずにいます。
しかも、必ず対戦相手へのリスペクトも忘れず、「相手も良いチームだから苦しかったけど勝てた」と敵からも嫌われる隙を与えない好青年ぷり。いくら嫌われ立役者のヤンキースに所属をしていようと、批判のしようがありませんよね。
これだけイイヤツが報われないわけがない
そして本日(10/14本記事執筆時点)、ジャッジ選手率いるニューヨーク・ヤンキースは2022年プレイオフ2戦目を迎えており、ワイルドカードシリーズを勝ち抜いたクリーブランド・ガーディアンズと激闘を繰り広げています。
ジャッジ選手は今季オフにFAとなり、もしかしたら今回がヤンキースのユニフォームを着た最後のプレイオフになる可能性もあります。2016年の初打席初本塁打の衝撃ルーキーイヤー以降、ヤンキースは毎年プレイオフへの進出は果たしているものの、ワールドシリーズ優勝はおろか、出場すら果たせていません。
ヤンキースファンとしてチームを応援するのは当然ですが、私はジャッジ選手がいるヤンキースが成し遂げないと意味がない、と勝手に思っています。これが本当にラストチャンスかもしれません。本記事でジャッジ選手の魅力が少しでも伝わって、彼を応援したいと思った読者さま。ぜひ今年のプレイオフはヤンキースを応援してくださいませ。11月にニューヨークの頂で共に優勝を祝いましょう!