ジムの競合他社を徹底的に研究した
――器具が少ないというのは、それまでのジムのイメージとは違いますね! その後、のれん分けいただいて、はじめて出した店舗はどちらになりますか?
吉野 新宿ですね。新宿の小滝橋通り近くの、マンションの9階の一室です(※注:現在も「新宿店」として営業中)。駅から離れていますし、器具もあまり置かないので広くもない。当時は家賃10万もいかないくらいでした。そもそも「僕一人で食べられるくらいでいいや」程度に思っていましたから、試合があるときは閉めて、というような気持ち、スタンスでやっていたんです。
――とはいえ、最初の告知といいますか、お客様の集客は大変だったかと思います。
吉野 先ほどお伝えした通り、元広告代理店勤務でしたので、実はネットに強かったんですね。たとえば「大手のライザップさんは、どういう媒体に出していて」なんてことを個人的にとことん研究しました。ホームページのつくりや構成なども見て、僕なりにアレンジし、兄に実際にホームページを作ってもらって、という流れを作りました。今は主軸をインスタグラムに移行したり、SNSマーケティングをしているところです。ですから、広告代理店で働いていたことも、あながち無駄ではなかったなあと思います。広告マンには向いていなかったですけど(笑)。
――効果的な経営戦略ですし、社会人としての経験は無駄ではなかったのですね。実際にパーソナルトレーニングをはじめられて、お客様が痩せると、やはり嬉しいものですか?
吉野 嬉しいですね。やっぱり“幸せになる過程”が見られますから。お客様が5キロ痩せるというのは、あくまで目標。その目標の先にある「目的」をヒヤリングするまでがいちばん大切なんです。「彼氏を作りたい、痩せて可愛い洋服が着たい!」という女性には、「では、その服を着て、どこに行きたいのですか? 誰と行きたいんですか?」と言うところまで聞きます。「本当は彼氏を作って、結婚もしたいんです」ということであれば、「じゃあ、結婚する準備をしましょう!」と――。
ですから、「目標」だけではなく、「目的」が同じ方向に向くまでが、僕らの仕事なんです。やっぱり目標だけ追っていてはお客さんは掴めません。「これで彼氏ができましたね!」「あと2キロ痩せたら、きっとモテると思いますよ!」というような、細かいフォローが必須です。ほぼコーチングなんですよね。
――なるほど。たしかにトレーナーという部分もありつつ、コーチング、メンターとしての側面が強いですね。では、個々のメニューはどのように組まれているんですか?
吉野 うちは全身をやりますから、最初にペアストレッチをして、お客様の筋肉でどこが固いのか、たとえば「あ、ここが固いんだな」ということをまず把握するんですね。身体を触った時の顔の表情、それから筋肉の反射で、運動神経がいいのか悪いのかわかるんです。我慢強いかどうかも見ますね。それらをチェックして、さらに、かかとの上げ下げでリズム感をチェックし、そこではじめてメニューを作るんです。ですから、毎回メニューが違いますし、逆に言えば、そこまできっちり対応しています。
――ひえー、それはすごい。そのときのお客様のコンディションや表情を見ながら、毎回違うメニューを作る、と。
吉野 そうです、毎回違います。ときには、お茶をして終わる時もあります。「もう今日はお茶しましょう」と言ってストレスを聞いて(笑)。もう、会いに来るだけでもいいんですよ。とにかく“継続する”ことが目的ですからね。
――では、出版されたばかりの本の話についてお伺いします。『「空腹睡眠」ダイエット』というインパクトのあるタイトルですけど、この本の簡単な内容紹介をしてもらってもよろしいですか?
吉野 以前、お客様にうちのジムを知ってもらう広報の一環として、インスタライブで無料のダイエット相談を実施していたんです。そのなかで、実は「子どもがいてジムに行けない」「多忙すぎてジムに行けない」、あるいは「家の近くにジムがない」という人が思った以上に多かったんですね。そこで、そういう人たち向けの本を作りたいと思ったことがきっかけとなり、自宅でいかにラクして効率よく痩せるか、ということを目的にしたんです。
内臓脂肪は、空腹時と睡眠時に一番よく燃えるという特性があります。「空腹睡眠」というのはその特性を利用します。ですから、ランニングが苦手とか、運動が苦手という人たちでも、「ラクに痩せることができるよ」というメソッドが書いてあるんです。「お米や麺はダメ」といった糖質完全カットのようにストレスが溜まることもありませんし、トレーナーとしていろいろな人を見てきた結果、最大公約数として、大多数の人が間違いなく痩せるメソッドなんです。もちろん男性にも効果大です!
――お米&うどん大好き人間の私もうれしいです(笑)。しかも寝ることが方法のメインであり、自宅で誰でも出来る、最強のメソッドということですね!
吉野 どんなメソッドでも、続けられないと意味がありませんからね。寝る5時間前までに固形物を摂り終え、そのあとは消化のいいものを食べて、なるべく軽い空腹で寝ましょう、ということを提言しています。あくまで軽い空腹ですから、ガチガチに考えないことも一つのポイントです。0キロカロリーゼリーとか茶わん蒸し、ところてんなどはオッケーですから、「寝る5時間前までに固形物」も、さほど難しくないと思います。最近はアイスチョコレートでも糖質の低いものが出てますよね。ですから、甘いものもやめなくても、ちゃんと痩せることができるんです。
――なるほど、無理のない、間口の広いダイエット方法ですね。次回は、ビジネスマン向けに起業、副業のコツ、それからメタボなどに悩む男性向けの、簡単なダイエット法についてもご教授ください!
[プロフィール]
吉野達彦(FORZAフィットネススタジオ代表トレーナー)
1985年8月31日生まれ。大日本プロレス所属の現役プロレスラー。運動指導歴14年。指導実績として、学生時代よりフィットネスクラブにてインストラクターとして指導。広告代理店営業を経て2009年よりパーソナルトレーナーとして活動し、初心者からモデル、アスリート、高齢者まで幅広く指導する。2015年に、『FORZAフィットネススタジオ』をオープン。
◎「FORZA(フォルツァ)フィットネススタジオ」
現役のモデルやタレントのボディメイクを担当する吉野達彦が代表トレーナーを務めるパーソナルトレーニングジム。
吉野達彦選手も出場!
大日本プロレス25周年メモリアル
大日本旗揚げ記念日「STARDUST SUPERSTARS」
神奈川・横浜文化体育館大会
https://bjw.co.jp/schedule/s2020-03-16/