長年、社会の闇を取材してきたライター兼イラストレーター、漫画家の村田らむが一番恐怖を感じた瞬間は、理解不能な人間の狂気に出会ったときだった……。世の中の闇に精通する筆者が綴る、思わず背筋が凍る人怖(ヒトコワ)物語。それは何気ないはずの日常を一瞬にして恐怖へと陥れる…。
40代の女性が、中学の同窓会で体験した話。なんでも、その同窓会の幹事の女性の目的は、新たな旦那探しだったようで…。
※本記事は、村田らむ:著『人怖2 人間の深淵なる闇に触れた瞬間』(竹書房:刊)より一部を抜粋編集したものです。
新しい夫を中学の同級生から探す、歪んだ同級生
この話は東京に住む40代の女性に伺った。
八年ほど前に、中学三年の時の同窓会が開かれました。
卒業してから初めてだったので、ちょっとビックリしました。幹事はNちゃんという女性で、中学時代はそこそこ仲が良かったのですが、高校以降はずっと疎遠になっていた子です。
今でも仲が良い友だちに聞いてみると、Nちゃんは20代で結婚して、すでに中学生の子供がいるそうです。
でも夫との関係は破綻寸前。
なんと、今の夫から乗り換える男を探すために同窓会を開くことにしたそうです。
「新しい夫を中学の同級生から探すってかなり歪んでない?」
「あの子はずっと歪んでるよ。子供の名前も昔の元カレの名前つけたし。ドン引きだよね」
情報を教えてくれた友達とそんなことを話したりしてました。
ただ、同窓会でいきなり会っても、上手く口説けるかどうかはわからないですよね? でもNちゃんは、そこのところ、すごい狡猾でした。
あらかじめ目ぼしい男子数人を、「クラス会の打ち合わせをしたい」という理由で呼び出して、サシで飲んで口説き始めていたらしいです。
Nちゃんが当初、本命で狙っていたのは中学時代に付き合っていたS君。未だに彼が独身ということも知っていたからのようです。
ただ、実際に会ってみたらNちゃんはS君にピンとこなかったみたい。ただS君は二人で飲んだことに、のぼせ上がってしまって、「Nは俺の女だ」みたいな態度になってしまいました。
同窓会当日、Nちゃんは馴れ馴れしくせまるS君を徹底的に無視しました。その態度に腹を立てたS君は、その後Nちゃんに粘着するようになってしまったんです。