スベリ知らずの猛者たちによる余興
そしてお待ちかねの余興の時間が始まる。
一発目はモノマネショーだ。
ゆうぞう 加山雄三『君といつまでも』
ミラクルひかる 宇多田ヒカル『ファーストラブ』
ダブルネーム コブクロ『永遠にともに』
あとからプランナーさんに聞いたところによると、会場の外まで聴こえる歌声があまりにそっくりだったため、大物芸能人の結婚式にコブクロがきてるとザワついたとか。さすがプロのモノマネ芸人だ。
続いては、ビックスモールンによるボディーアート。営業のプロフェッショナルといえる2人の芸に、会場はメチャクチャに大盛り上がり。
そして個人的にどうしても見てほしかったのが、まだ売れる前のチャンス大城さんだ。芸人以外のお客さんは最初はポカンとしていたが、ネタを見たらドッカンドッカンウケていた。スベリ知らずの称号はダテではない。もちろん一番笑っていたのは横にいる嫁だ。彼女が笑っている姿を見て、こちらも幸せな気持ちになった。
お色直しで中座したのちは、新郎新婦ともに50年代のファッションに身を包み、「お前誰だよロックンロール」をBGMにツイスト踊りながら登場する。
ともえの師匠であり、アニソン界ではレジェンドと言われているジャムプロジェクトの奥井雅美さんから、お祝いの歌を聞いた嫁は感激して涙を流していた。
そしてシメは英二さんによる『乾杯』。歌が終わると会場は大きな拍手に包まれた。
披露宴の最後は新郎挨拶だ。マイクを手にすると、会場が静まり返る。俺はいつもどおりの、飾らない言葉でみんなに感謝を伝えたかった。
「この歳まで売れない芸人をやってきました。僕には一つだけ自慢できることがあります。それは出会う人に恵まれてきたことです。僕に人望があるわけではなく、たまたま素敵な人たちに会えてきた。それが今日ここに来てくれた皆さんです」
最後に、この場にいない父親への気持ちを伝えたら、涙がこぼれてしまった。一礼して退場する。拍手に送られて扉の外に出て横を見ると、そこには嫁のとびきりの笑顔があった。興奮気味の俺たちは同じことを口にしていた。
「緊張したけど、楽しかったね!」
(構成:キンマサタカ)