国家の命運を外国に委ねるな! 独立国としての「フリーダム(freedom)」を、外国と官僚に依存した戦後体制によって奪われている日本。国際情勢や国内の諸問題を通じて、真の「フリーダム(freedom)」とは何か? 『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)で第1回日本再興大賞を受賞、第20回正論新風賞を受賞した江崎道朗氏が日本再建の道はどこにあるのかを示す!
予算は国家の意思
安倍政権は第二次政権発足当初、「セキュリティ・ダイヤモンド構想」といって日米印豪四カ国が同盟関係を結ぶことによってアジア太平洋の平和と安全を守るアジア構想を示しましたが、オバマ民主党政権の消極姿勢のため進展しませんでした。
この「セキュリティ・ダイヤモンド構想」が、トランプ共和党政権の誕生で、劇的に動き始めました。トランプ政権は、外交・安全保障政策面に限って言えば、安倍政権最大の応援団になっています。
尖閣防衛を主張したアメリカの下院議員このような対アジア太平洋の安全保障政策を主導している政治家のひとりが、トランプ大統領の軍事政策顧問になっているランディ・フォーブス連邦下院議員です。
バージニア州選出のフォーブス下院議員は、下院軍事委員会・海軍遠征軍小委員会委員長の重責を担ってきており、海軍政策のエキスパートとして海軍関係者や海軍戦略家・研究者などからも高い評価を受けている人物です。
しかも日本にとって重要なことは、このフォーブス下院議員が、尖閣防衛の急先鋒でもあるということです。
たとえば、2013年2月26日、米下院軍事委員会委員長であったフォーブス議員は議会内で開かれた中国人民解放軍の実態についての研究会で演説し、沖縄県・尖閣諸島問題に関連して次のように述べ、オバマ民主党政権が日本の味方をするよう強く迫ったのです。
《米国が同盟国の日本を支持し、その基本をより明確に、かつ強固に表明していくことが中国への最大の抑止となる。米国の目的はこの地域の安定であり、中国の今の動向はこの日標への挑戦となる》
《尖閣を含む地域の安定を保つため、いざという際には、米国が日本を支援するということや、中国側が尖閣に対して何をしているのか、詳細に監視していることを中国側により明確に知らせておくことが重要だ》(2013年2月27日付産経新聞)
このような尖閣防衛に理解のある下院議員がトランプ政権を支えているのです。ただし、トランプ政権は、日本も大国なのだから、自分の国は自分で守るよう自助努力をすべきだと主張しています。
別に日本だけに努力しろ、と言っているわけではありません。トランプ政権は、防衛費をGDP比4%まで増やそうとしていますので、同盟国の日本もその半分、つまりGDP比2%まで増やし、日米両国が連携して中国の侵略を未然に防ごうと主張しているのです。
予算は、国家の意志です。
トランプ政権から言われるまでもなく、わが国が防衛費を先進国並みのGDP比2%、10兆円にまで増加させ、日本と日本を取り巻くアジア太平洋の平和と安全を守るのは、独立国家として当然のことです。
そのためには、世論と財務省を説得しなければなりませんが、財務省との戦いにひるんで国防再建のチャンスを失ってはならないと思います。
※本記事は、江崎道朗:著『フリーダム 国家の命運を外国に委ねるな』(展転社刊)より、一部を抜粋編集したものです。