好きなことは仕事にできる、でも時間はかかる

――鹿島さんのお仕事は、これを仕事にしてお金を稼ごう、というのは大前提としてあると思うんですけど、自分の興味とか自分の疑問を解決したい、というのが根底にあるんだ、というのは先程のお話でわかったんですが、今の若い人で「好きなことを仕事にしたいんです」という方に、何か鹿島さんからアドバイスはありますか?

鹿島  僕が言えるのは「好きなことは仕事にできる、でも時間がかかる覚悟は必要」です。結局、覚悟があるかどうかですよね。

▲「好きなことは仕事にできる、でも時間はかかる」と話してくれた

――なるほど。

鹿島 たとえば、プロレスの見方とか、新聞の読み方とか、こういうのは自分ひとりの嗜みであって、別に“誰かが喜んでくれるだろう”なんて思わないんですよ。それが仕事や表現になって、しかもみんなが楽しんでくれるんだって気づいたときは、ありがたかったですね。

――その期間があったからこその今、ですもんね。でも、好きなことを仕事にしようとする人は、好きだからこそイヤなところを見ちゃって、それを見たくなくて心折れちゃう、という方もいらっしゃると思いますが……。

鹿島 たしかに、その意見はよくわかります。みんな過去を美化しちゃうし、強いマウントもかけてくるし(笑)。こういう風潮は、どの世界にもいて、身の回りにもいると思うんですけど……。

でも、僕は“常にアップデートしていかないと”というのは心がけてますね。昨日までの自分もいいけど、今日少しでも変われたらいいなって思えるかどうか、それがおじさんとしての大事な分岐点じゃないかなと思いますね。読んでいただいたらわかると思うんですが、そういう思いがなかったら、最後の章みたいな見せ方はできなかったんじゃないかなと思います。

――ちなみに「プロレス」「川口浩」と出版されてきた鹿島さんが、今後扱ってみたいなと思うテーマはありますか?

鹿島 ある政治家のある視点については興味を持っているので、機会があれば調べて書きたいですね。この視点で読みたいなというものが、まだ世に出てないと思ったので、じゃあ川口浩探検隊のように僕がやりたいなって。自分が読みたいものを調べればいいんだと思います。

――最後に、この本を出したタイミングで何か思うことはありますか?

鹿島 タイミングを痛感したのが、この本が出て3日後に、テレ朝の動画配信サービスTELASAで川口浩探検隊の配信が始まったんで、びっくりしました。じつはこの本、去年だけでも3回くらい発売日が延期されてるんです。事実確認とか加筆の関係で。だから普通に発売されてたら、川口浩探検隊に興味を持っても、見れない環境だったのが、今はTELASAに加入すれば見られる。だから、この本を読んで興味を持った方は、ぜひ見ていただきたいなと。

プロフィール
 
プチ鹿島

1970年、長野県生まれ。大阪芸術大学卒。時事芸人。新聞14紙を読み比べ、スポーツ、文化、政治と幅広いジャンルからニュースを読み解く。2019年に「ニュース時事能力検定」1級に合格。2021年より「朝日新聞デジタル」コメントプラスのコメンテーターを務める。コラム連載は月間17本で「読売中高生新聞」など10代向けも多数。【レギュラー番組】「東京ポッド許可局」(TBS-R)、「プチ鹿島の火曜キックス」「プチ鹿島のラジオ19××」(YBSーR)、「鈴木哲夫の永田町ショータイム」(BS11)。Twitter:@pkashima