他人から批判を受けたときは無視が正解
批判を受けるのは「嫉妬」「脅威」を与えている証拠です。人は、他人から批判されるのを嫌います。自分の存在を否定されたと思えるからです。
では、なぜ他人を批判するのでしょうか。それは、対象に嫉妬や脅威を感じるからなのです。
自分より、うまくいきそうな人を見ると、へこませてやりたくなったり、何か自分を不安にさせる未知のものを感じると、潰したくなる感情なのです。
今までにない斬新なもの、大胆なこと、不思議なことに遭遇すると人は驚きます。驚きの感情は、次の感情に移行する直前の初期反応で、本来は「中立」です。
心理学者のポール・エクマンは、「驚き」に続く「基本的感情」を次のように分類します。
「驚き」→「怒り」「恐怖」「喜び」「悲しみ」「嫌悪」「軽蔑」
感情は、他にも「後悔」「失望」「期待」……など、いくらでも細分化できます。
しかし、生存に直結する感情は「驚き」も含め7つとしたのです。そして「喜び」の感情以外は、すべて不快です。
「怒り」は敵と闘うための、「恐怖」は逃走のための、「悲しみ」は喪失したものの価値を計るための、「嫌悪」は汚物や危険を回避するための、「軽蔑」は集団行動の掟づくりに役立つ感情です。
「喜び」だけが、何かを獲得したときのうれしい感情なのです。
こうして人は、敵や自然界の脅威に対し、ネガティブに反応することで生き延びました。
他人から批判を受けたときは無視が正解です。言い返しても不毛な対立を生むだけです。むしろ、あなたが他人を批判しないようにすることのほうが大事なのです。嫉妬や脅威を抱くと、自分の信念が揺らぎ、不安と不快に苦しむからです。
漫画の神様とうたわれた手治虫氏でさえ、1960年代に入り、貸本漫画家が雑誌漫画界に大挙進出し、リアルな絵柄の「劇画ブーム」を起こした際には、嫉妬と脅威でスランプに陥ったと評されます。嫉妬や脅威は自分の才能を塞ぐだけなのです。
人から批判されるものには大きな可能性がある
他人を批判するのは、そこに嫉妬やなんらかの脅威を覚えるからです。嫉妬ゆえに攻撃したり、脅威ゆえに潰しにかかるのが、批判というものなのです。
文化や芸術を語るまでもなく、あらゆるものに批判はついて回ります。
印象派の画家ルノワールは当初、光と陰に彩られた人物の肌色表現を「腐った肉体のようだ」と酷評されましたが、のちに「見事な陰影の表現で、みずみずしい肌の質感を出すことに成功している」と世界中からの絶賛の声に変わっています。
100円ショップ「ダイソー」の創業者・矢野博丈さんは、当初は倒産した企業などから商品在庫を安く仕入れ、トラックの移動販売で起業しましたが、値札をつけるのが面倒なため、全品100円で販売していました。大手スーパーの担当者からは「そんなごちゃ交ぜの商品販売がうまくいくわけがない」と酷評されましたが、今日では大成功しています。
【才能爆発のポイント】
自分が好きでやっていること、やりたくてやっていること、楽しくてやっていることへの、他人からの批判があったとしても、落ち込むべきではありません。
むしろ、そこにはものすごい才能の萌芽があると考えるべきだからです。人は、脅威や嫉妬を感じると攻撃したくなります。自分よりすごい才能だからこそ、攻撃して潰してやりたいと思うのです。
批判されたらチャンスがあります。それをもっと磨き続ければ爆発させられます。
「憎しみは積極的な不満で、嫉妬は消極的な不満である。したがって嫉妬がすぐに憎しみに変わっても不思議ではない」ドイツの文豪・ゲーテ