AIは1週間後どうなっているかもわからない

――今後はAIがさらに発展すると予想されていますか?

西野 はい。オープンソースになったことで活発的になったのもそうですが、昨今はGAFAがめちゃくちゃAIに力を入れ始めてるじゃないですか。お絵描きに関するAIだけじゃなくて、いろいろな分野に関わるAIが今年は加速するなっていうのは、見ていて思いますね。

――AIでできたらいいと思うことって何がありますか?

西野 それこそアプリの運用をしてもらえたら、すごくいいなって思います。確定申告などの雑務をしてくれるAIがほしいですね。

――確定申告で苦しむ方々は世に大勢いらっしゃるので、開発されたらものすごい話題になりそうです。ただ、職を失う人も出てきますよね。

西野 そうですね。「AIによってホワイトカラーの職がなくなるんじゃないか」っていうのは議論されていますよね。弁護士みたいな頭を使う仕事は、全部AIに置き換わりうるってことです。

昨日できなかったことが朝起きたらできるようになっているという世界なので、1週間後がどうなっているかもわからないです。それぐらいAIの速度が早くなっているなと感じています。例えば、最初は「AIは手が書けない」というのをよく見ましたが、今は手を描けるようになっているので、どんどん課題をクリアしていくようになっているんですよ。

――今は人がやっている仕事でも、近い未来はAIに置き換わっている可能性が大いにあるということですね。話は変わりますが、西野さんは現在大学4年生なので、進路を考える時期ですよね。どういった道に進まれるのでしょうか?

西野 大学院に行こうと思っています。就職に関してはまだ何も考えていなくて、今はエンジニアとして仕事をしているんですけど、本当にずっとエンジニアでやっていくかのかどうかもまだ決めあぐねているというか、もっといろいろなことに触れたいなと思っているます。

――具体的にやりたいことはあるんですか?

西野 今まではソフトウェアばかり作っていたんですけど、最近はハードウェアでモノ作りをしてみたいなと思ったり、あとは3Dモデリング、アニメーションや映像制作も面白そうだなと思っているので、本当にエンジニアに限らず、幅広い分野に興味がある状態です。

▲お絵描きばりぐっどくんが描いた「SFなワニ」

行動力は高校で出会った友人の影響

――今後の活躍が楽しみです。お話を聞いていて、西野さんの行動力はものすごいなと感じたのですが、昔からそうだったのでしょうか。

西野 いや、全然そんなことはなくて、なんなら僕は全然行動しないタイプでした。

――今の西野さんからは想像ができないですね。

西野 そうですよね。高校生の頃、僕にすごく影響を与えてくれた友達がいて、その人とは小学校も一緒だったんですけど絡みはなく、高校で話したら意気投合したんです。その友達は、今の僕以上に行動力があったので、その人の近くにいたから行動力のスゴさが影響されたんだと思っています。

――その友人の行動力がスゴいと思ったエピソードはありますか?

西野 高校生なので文化祭があったんですけど、CMを作ることになって、僕とその友達、他にも何人かが担当になりました。そして、必要になるモノを話していたら、その人のモチベーションが高まっちゃって、その日中に材料を全部買いに行ってましたね。

それだけじゃなくって、お金を集めるのも上手でした。高校生ながらスマホでライターの仕事を受けてお金を稼いで、それを元にMacBookを買って、次は仕事を受注して、下請けに依頼してと、意味がわからないようなことをする友達でしたね。

「絶対に得るものはあるから、とりあえずやってみよう」っていう考え方になったのは、その人がきっかけです。

――新しいことを始めるとき、最初の1歩が踏み出せない人は多いです。そういう方々に向けてメッセージをお願いします。

西野 僕は「とりあえずやってみよう」と思います。友人にも「こういうことをやってみたら?」と提案をすることがあるんですけど、「でも……」から始まるのはもったいないですね。できない理由もあっていいんですけど、できないなら何をするか、次に向けて考えることが大事です。

そして、興味のあることに手を出してほしいと思います。思った以上に見える景色は変わるというか、高校のときに見える景色と、大学に入ってから見える景色は全然違います。


プロフィール
 
西野 颯真(にしの・そうま)
九州工業大学情報工学部4年。LINEの友だち登録数239万人を誇る画像生成AI「お絵描きばりぐっどくん」の開発者。LINEアプリ:お絵描きばりぐっどくん、公式サイト:お絵描きばりぐっどくん