スマホOKでも「バイトテロ」は起きない!

ウチでバイトをはじめた人は、みんな、そのアットホームな雰囲気にびっくりするようだ。たしかに「元プロレスラーが経営しているステーキハウス」と聞いたら、みんな、ちょっとは構えてしまう部分もあるだろうけど、その経営者がまったく怒らないし、店員同士のムードもいい。

店員の居心地がいい店は、絶対にお客さんも居心地がいいはずだ。もちろんアルバイトの子は、いつか店を去っていくことになるけれど、女性スタッフは必ずといっていいほど辞めるときに涙を流す。

そういう店を作れたことは、本当に良かったと思う。いろいろな人に驚かれるのは「ウチはスマホの持ち込みOKだし、お客さんがいないときは裏でスマホをいじっていても別に構わない」というルール。

たしかに近年、バイトが厨房で不衛生な行動をし、それをスマホで撮影して、SNSにアップする、という「バイトテロ」が話題になった。

それを受けて大手外食チェーンが、バイトが店内にスマホを持ち込むことを禁止するルールを制定したことがニュースになったりもしたから、よりウチのやり方が特異に映るのかもしれないし、もっと言えば「本当に大丈夫?」と心配になってしまう人もいるみたいだ。

だが実際のところ、バイトテロが起こったことは一度もない。

なぜかといえば、それはきっと、私が常に厨房にいるからだろう。別に厳しく監視の目を光らせているわけではないが、いくらなんでも、目の前に私がいるのに、そこでバカげたことをやる人はいないだろう。

そういえば一度、金庫荒らしの常習犯がバイトとしてウチにもぐりこんだことがあったのだが「この店には隙がない」と言って去っていった。特に睨みを利かせていたつもりはないが、やはり私がいるだけで一定の効果はあるようだ。

ちなみに暇なときはスタッフ同士の私語もOKにしている。それこそ、その会話に私が加わることもある。忙しいときは本当に休む時間すらないほど動きっぱなし、立ちっぱなしになるのだから、その時間帯に集中してもらいたいし、妙に厳しいルールで縛りつけるのは逆効果なんじゃないか、と私は考える。居心地の良さでバイトテロは防げるのだ。

▲スマホOKでも「バイトテロ」は起きない! イメージ:ソライロ / PIXTA