フランスでは自分の意見がないとバカにされる
――フランスは個人主義とよく言われますけど、それは感じますか?
nolie 「自分はこうしたい!」というのがハッキリしている人は、フランスは暮らしやすいと思います。フランスでは会話をしていても「これに対してあなたはどう思う?」とか、すぐに意見を聞かれる。そのとき「他の人と同じです」では通りません。自分がどう考えているのかを常に持っておかないと、バカにされるというか。
〇フランス生活に向いている人、向いてない人
――それは子どものうちから教育されているからですか?
nolie そうだと思います。学校でも家庭でも「あなたはどう思うの?」ってことを求められる。親と子の意見が違っても、そこは構わない。「あなたはあなたの意見、親と一緒、みんなと一緒じゃなきゃいけない」という視点はない。なので、自分の考えを小さいときから持っている子が多いのかなと思います。
――フランスと日本、子育てに関しての比較はどう思いますか?
nolie いま日本に来ていて思うのは、やっぱり「日本のお母さんへの負担はすごく大きいな」ということ。フランスは、すべてにおいて母親がしなきゃいけない、というような固定概念が日本ほどないし、そもそも父親も母親と同じくらい育児ができる環境が整っています。
どの家庭でも夜7時には家族が揃っているという感じなんですよね。子どもを迎えに行くのも、時短じゃなきゃ行けないわけでなく、普通に定時に上がって普通にお迎えに行ける。それは男女ともそうなんです。
フランスはゆるく時間が流れている。だから、わりと余裕を持っていろんなことができているのはあるかと。日本で子育てしていたら、私もきっといっぱいいっぱいになっているんじゃないかなと思います。
〇日仏家族の「何でもないおうち時間」を楽しむ休日
――パートナーの方は何時から何時くらいでお仕事を?
nolie 朝は8時くらいから。在宅か、お客さんのところの出先かという感じで。仕事しているのは8時から18~19時くらいで終わる。20時までいっちゃうと謝られます。「仕事が調整できずに遅くなってごめんね」と。日本だと20時で謝るってなかなかないと思うんですけど。
――昨年は第二子の出産がありました。まだ生まれて間もないわけですが、今後の展望などはありますか?
nolie 現状はYouTubeが基軸にはなっているので、それを続けつつ、次のステップをどうするのかっていうのを考えているところです。まだ具体的に何をというのは決まっていないんですけど、いつかの未来のために準備はコツコツしようと思います。
日本での社会人時代に、いつか役に立つかもと続けていた英語学習もそうだし、一級建築士の資格取得や、フランスに行くためにワーホリでなく大学院留学を選んだのも、将来の選択肢がより広がるからと思ったからです。
2020年にコロナ禍になって世の中が一変してしまったとき、舵を切り直してその変化に対応できたように、これからも時代の変化に対応できるように「今できることをコツコツやるのみ」かなと思っています。ちなみに、今は将来フランス語関連の仕事もできるように、日々フランス語の勉強に力を入れています。
――Nolieさんの行動力とそれを形にする力がすごいですね! 自分を動かしている軸ってなんなんでしょう?
nolie フランスに行くときに、いろんな人に言われたのが「なんで一級建築士の資格まで取ってキャリアを捨ててフランスに行くの? もったいない」と。でも、私の人生だし、他の人はそう言うかもしれないけど「人生一度きりだから、自分の思うように生きたいな」と思うんです。それが私の軸にあることなのかもしれません。
――フランスに行くという決断を、あのときにして良かったなと思いますか?
nolie 良かったですね。やって失敗だったら失敗でしょうがない。でも、私はやらずして後悔するほうがイヤなんですよね。フランスに行くときは正直怖かった。知らない世界で、知らない環境で。でも、あのときに躊躇(ちゅうちょ)して踏み出していなかったらすごく後悔していただろうなと。人生は一度きりですから、やりたいときにやっておかないと思っています。
〇フランスで2児の子育てをしながらリアルな生活の様子をSNSで発信するNolieさんインタビュー【前編】