栗山監督やオシム氏から引き出せる教訓とは?
思い返せば2012年のドラフト会議、日本ハムの監督を務めていた栗山監督は、大谷翔平を強行指名しました。この栗山監督による指名に対して「大谷の気持ちを無視している」と、当時のメディアは批判的に報道しています。大谷は高校卒業後、日本の球団ではなく、アメリカ(メジャーリーグ)に行くことを希望していたからです。また同時に大谷の「二刀流」を疑問視する声も、多くの専門家から指摘されていました。
しかし栗山監督は、大谷の二刀流を最大限に尊重します。しっかりと身体を作ってから、メジャーリーグに挑戦するよう説得したのです。栗山監督の説明に納得した大谷は、日本ハムへの入団を決断。二刀流を継続し、日本ハムを日本一に導いたのち、メジャーリーグへ活躍の場を移します。エンゼルスに移籍した大谷の活躍は、多くの方がすでにご存知だと思います。
栗山監督がいなければ、大谷の歴史的な成功は存在しませんでした。選手と同じ目線に立ち、一緒になって課題に取り組み、共に歩んできた栗山監督。今までの指導者とは異なる、新しい指導者としての姿がありました。
4月から新年度が始まり、新しい職場環境になる方もいると思います。また、上司となって新人や若手を指導する場面が多くなる方もいるかもしれません。
栗山監督がニュース番組や記者会見を受けた際、自身の采配に関するさまざまな質問に対して、的確かつ説得力のある説明をしていた場面がとても印象に残っています。
優勝(成功)の背景には、指導者による隠れた「献身」が必ず存在します。栗山監督やオシム氏が実践した「仲間や部下を信じて共に進もうとする」姿勢は、どの仕事にも通じる哲学として生かせるのではないでしょうか。