大谷翔平やダルビッシュ有などの現役大リーガーを招集し、栗山英樹監督のもと、史上最強と称された今回の侍ジャパン。決勝戦では接戦のすえ、最後はダルビッシュから大谷という夢のようなリレーで8回、9回をしのぎ、ラストはピッチャー大谷翔平、バッターがマイク・トラウトという、これまた夢の対決が実現! 大谷がトラウトから三振を奪い、侍ジャパンが09年大会以来、3大会14年ぶり3度目の世界一に輝きました。

日本列島が熱狂した今回の2023WBCを、ニューヨーク育ちのアナリストであるKZilla(ケジラ)氏が現地の声を交え、緊急速報で徹底解説!

アメリカは2023WBCをどう捉えていたか?

侍JAPAN、WBC優勝! 世界一達成、おめでとうございます!

特に決勝のアメリカ戦、最後のアウトは日本の大エース大谷翔平vsアメリカの主将マイク・トラウトというチームメイト対決が痺れましたね。

まさしくマンガの世界がテレビの生中継にあふれでたようなストーリー展開に、筆者も震えが止まりませんでした。

野球大国の日本では、WBC期間中は完全にお祭りモードでしたね。大谷翔平をはじめとしたスーパースター揃いの豪華キャストに惹かれ、我々のような野球オタクはもちろん、全くの野球初心者を含めたカジュアル層でも、かなり多くの方が試合を見て盛り上がっていたのではないでしょうか。

野球に全く興味のない私の母でさえリアルタイムで見ており、「アメリカと日本、どっちを応援すればいいの?」「なんでダルビッシュがいきなり出てきたの?」など、積極的に質問をしてくれました。(野球関連の執筆活動をしている息子を持つ母よ、もっと野球を見てくれ)

では肝心の対戦国、野球の生みの親・アメリカではどうでしょう。

従前では、アメリカ代表は自国のトッププレイヤーが欠けていたり、「WBCは無意味、世界一の野球リーグがあるからアメリカは当然ながら世界一」「WBCで贔屓(ひいき)のMLBチームの主力が怪我したら困るから出てほしくない、贔屓チームがワールドシリーズを勝つことにしか興味がない」と否定的な声が多く、ファンも冷めきっていた印象が強かったです。

その一方、今回は現役最強の野手マイク・トラウト選手がキャプテンを務め、MVP受賞経験のあるベッツ選手、ゴールドシュミット選手など、侍ジャパンでもブランド負けをしてしまう顔ぶれで挑んできました。しかし、やはり自身の贔屓チーム主義の「WBC否定派」のファンは相変わらず多く見られました。

果たして、WBCの熱はアメリカの気難しいファンをも振り向かせることができたのでしょうか?

ズバリ、WBCは世界中の野球オタクの心をしっかり掴み取りました。

「大谷vsトラウトで野球のピークを迎えてしまった」
「展開が神すぎてヤラセでしょ」
「日本の投手陣、聞いたこともないヤツらが全員157kmのストレートとエグいフォークを投げてて理解不能」
「村上宗隆は未来のヤンキース三塁手」(大賛成!)
「吉田正尚がボストンで暴れまくるのが楽しみすぎる」(大反対!)

と、どこを見ても大盛り上がりでした。

一番上手にまとめたのが、アメリカ代表チームの監督マーク・デロサ氏。

The baseball world won tonight… this thing is real, the WBC is real.(今夜、優勝したのは野球界。このWBCというものはホンモノだ)

まさしく、ようやくWBCが野球界に「認められた」今大会だったのではないでしょうか。

もちろん課題はまだまだ健在です。準決勝のアメリカ対キューバ戦は平均190万視聴者を獲得した一方、先週始まったアメリカの大学バスケ大会March Madnessの1回戦は全試合平均が920万視聴者、と5倍近くも集客していました。さらに速報ですが、日本アメリカ戦のアメリカ内視聴率は平均450万人、さすがに注目度が上がったようですが、それでもmarch madnessの半分、ということになりますね。

アメリカ中の野球ファンを虜にできたものの、日本のように全国民を口説く日はまだまだ先でしょう。(ちなみに日本対韓国戦では平均視聴者数が脅威の6,200万人。やはり日本人の愛国心・野球愛は凄まじい!)