ボルピの背番号「11」前任ガードナーは何者?

ボルピ選手の名前にひかれて本記事を読んでいただいた読者の皆さま、あらかじめ謝罪をさせてください。ここからしばらくボルピ選手の話から離れ、ガードナー選手について語らせてください。

日本では、このガードナー選手をご存知の方は少ないのではないでしょうか。

前述のジーター選手や、昨年「真のホームラン記録」を塗り替えたうえでMVPレースにて大谷翔平選手を倒したアーロン・ジャッジ選手、といった派手に活躍をしてきた選手の陰に隠れて、チームを支えてきた縁の下の力持ち的存在です。

安打製造やHR量産ではなく、「粘り強く塁に出る・足を使って好走塁/守備で確実に貢献する」といった比較的地味なプレースタイルを長年貫いた選手でした。

そのため、コアなファン以外はあまり知らないのは当然かもしれませんが、じつは2010年代ヤンキースに最も貢献をした選手でした。

2010年代ヤンキース所属のWAR(≒選手の貢献度)ランキングを見てみましょう。

 

2010年代の著名な選手といえば、2014~20年に所属していた田中将大選手や、2014年に甚だしい引退を遂げたジーター選手、2016年にデビューを果たしたジャッジ選手あたりが真っ先に思い浮かぶかもしれません。

しかし、彼らはそれぞれ2010年代の一部分のみに活躍していたこともあり、2010年から2019年まで通しで活躍をしたガードナー選手にWARで越されています。

そして彼らに限らず、ヤンキース所属選手全員のなかでも、ぶっちぎりの1位なのがガードナー選手。

10年間で33~39勝分の貢献、キャリア通算では38~44勝・代表的な定量成績では通算1,688試合に出場し1,470安打、139本塁打、274盗塁、943得点、と長いキャリアにおいて堅実に数字を積み上げてきました。

また、彼の貢献はフィールド上に限られたものではありませんでした。

2010年代前半にはそれまで長らくヤンキースの中核を占めていたベテラン勢、特に1990年代後半〜2000年代の黄金期を支えたCore Four(ジーター選手に加え、伝説のクローザー・マリアノ・リベラ投手、安定の代名詞アンディ・ペティット投手、元祖打撃型捕手のホルヘ・ポサダ選手)がチームを離れていったなか、メンバーの入れ替えが激しい転換期をチームリーダーとして支えました。

Core Fourの理念や教訓を受け継ぎ、Core Fourを知らない後続世代へ伝授したのもガードナー選手(および同ベテランのCC・サバシア投手)で、本人もこれを誇りに思うと言及しています。

ただ、ガードナー選手は自身のことを語るのは好まず、リーダーシップもどちらかというと背中で見せるタイプ。

フィールド上では熱血ぶりを前面に出し、吠えたり叫んだりして仲間を活気づけたり、

〇Gardner goes deep to give Yankees the lead[MLB]

仲間への誤審を庇うべく全力で抗議をして退場になったり、

〇Brett Gardner gets ejected for saying nothing to the umpire, a breakdown[Jomboy Media]

ユーモアでチームの雰囲気を和らげたり、

〇2015 Yankees Commercial | Brett Gardner Bat Day[New York Yankees]

老若関係なくチームメイトにいたずらをするのが大好きというのは有名な話で、得意武器はホットソースとされています(笑)。

「キャプテン」という肩書こそ正式には与えられなかったものの、前キャプテンのジーター選手が引退をした2014年以降、れっきとしたリーダーを務めたガードナー選手。

昨年オフに新キャプテンに任命され、ジーター選手から正式に職務を引き継いだジャッジ選手も「今まで一緒にプレーした人たちのなかでも最高のチームメイト」と太鼓判を押しています。

プレイヤーやファンによって、ポストジーター政権の「非公式キャプテン」として認識されている格の選手です。