背番号「11」番支給の真の意味

そんなガードナー選手ですが、2021年シーズンを最後にヤンキースのユニフォームを脱いでしまっています。

2021年シーズン後にヤンキースとの契約が終了し、フリーエージェント(FA)となった際に、ガードナー選手はヤンキースと再契約をする意思を見せたものの、ヤンキース側が契約を拒みました。

そしてガードナー選手は、他チームからのオファーを受けたのに関わらず(当時ブルージェイズやブレーブスが興味を示したとの報道があります)、「自分はヤンキース一筋」と全て拒み、シーズン開始後も追加補強として声がかかるのをひたすら待機したようです。

結果的に2022年シーズンは全休となり、2023年も本記事執筆時点では無所属のまま。40歳手前の選手が1年以上のブランクを経た現役復帰は現実的ではないと思われるため、実質的に引退をしている状態となっています。

▲結果的に引退試合となった2021年ワイルドカード戦 写真:KZilla

そして、その矢先に発表されたボルピ選手への背番号11番の支給。

ボルピ選手のキャリアの始まりを示す一方、ガードナー選手のキャリアの終焉の表れでもありました。

実際、背番号の継承を打診されたボルピ選手は、ガードナー選手へ電話をかけた際に本人からも快諾とエールを受けたようです。

これでガードナー選手も、自身のキャリアに終止符を打ったと言えるでしょう。

筆者の所見としては、地味ながらもヤンキースにこれだけ貢献したガードナー選手の11番は永久欠番にすべきだと考えていましたが、欠番が叶わない場合はガードナー選手と同格の選手に継承してほしい、と考えていました。

その同格の選手が、まさにボルピ選手ではないでしょうか。

選手としての実力は、有望株としての期待値から示されている通り、ガードナーを超える素質が十分あり、さらに人格面でも真面目さや謙虚さがすでに歴代キャプテンらのジーター選手やジャッジ選手と比較される貫禄を持ち合わせています。

早くもジャッジ選手や現エースのゲリット・コール投手をはじめとし、多くのプレイヤーやチーム関係者が口を揃えて称賛をしており、21歳という若さでリーダーシップ面も評価が高いです。

これだけ将来が明るく、未来のヤンキースを引っ張る存在になり得るボルピ選手に、これまでのヤンキースを引っ張ってきたガードナー選手の背番号を渡したヤンキースも、継承を快諾をしたガードナー選手本人も、それを見守るファンも全員が納得できる判断でしょう。

ヤンキースの不動のショート、および未来のリーダーとして、ジーター選手のみならずガードナー選手の意思も受け継いだ新生11番が、ニューヨークの地で大暴れをする日々が楽しみで仕方がありませんね。

▲筆者の推しだった11番。ありがとう、そしてお疲れさま 写真:KZilla

プロフィール
KZilla(ケジラ)
ニューヨーク・ヤンキース、およびMLBの魅力をTwitter、note、ラジオなどで発信し続ける注目の野球アナリスト。ニューヨーク育ちの英語力を活かした情報収集力と分析力は、コアなファンからも高い評価を得ている。先日、袴田彩会さんから直筆サイン入りの写真集『Another』と、激励のメッセージを受け取り幸せの絶頂期との噂。Twitter:@TokYorkYankees、note:KZilla|note