シーモアのお客様からスタッフになる人が多い

――電子書店員としての普段のお仕事を教えてください。

須藤 弊社のオリジナルキャンペーンも含めてなんですが、今後どういう施策をやっていくか、その企画検討をしている時間が多いですね。定量的なデータ分析もやるんですが、アイディアが出るのって「どんなのが面白いんだろう」とか「お客様が喜ぶのってなんだろう」と、スタッフみんなで議論していくなかで生まれることが多いです。

特に「どういう作品をお客さんに届けるか」については、石井のところのスタッフも漫画好きのメンバーが多く、ノウハウもあるので、データや数字が取れる時代になりながらも、やっぱり“人の力だな”と感じています。

――好きなことが仕事に役立てられるのはすごくいいですね! こういう話を聞くと、漫画好きな方は御社に入りたいって思うんじゃないでしょうか。

須藤 そうなんです、お客様からスタッフになる人が多いんです。

石井 うちのチームにもいます。

――それはうれしいですね。本当にシーモアさんが好きで入るって。

石井 そうですね。やっぱり、あのテレビCMを放映したぐらいから、かなり増えた印象です。知名度が上がった効果だなと思っています。

――なるほど。石井さんの普段のお仕事も教えてください。

石井 須藤の話にもありましたように、日々どんな作品をお客様に届けるかという点においては、チーム内で人気作の動向を探ったりしています。漫画好きのメンバーがたくさんいますし、SNSなどメディアで話題に挙がってる作品などの情報収集力が高いメンバーもいますので、そういった情報をチームで共有し合っております。

そういう情報のサイト掲載だったり、キャンペーンに反映できる運用を心がけてやってるんですが、やはりサイトの顔であるトップページには、いま話題の作品、これから人気になりそうな作品を探しに来られていると思いますので、そういう作品を瞬時に訴求できるような運用がすごく大事だと考えて、チームメンバー全員で取り組んでいます。

――スピードも大事にされてるんですね。

石井 はい。グループチャットなどで情報をやり取りしてるんですけど、在宅勤務をしているっていうこともあって、「テレビで今、この作品が取り上げられてましたよ」とか教えてくれるんですけど……仕事中だし、言っていいのかなって思っちゃいます(笑)。

――(笑)。仕事中にテレビを見ているという罪悪感よりも、素直に情報を共有することを選んだんですね。

石井 そういった作品の情報もすぐにサイトトップに反映して、お客様にアピールしているっていうのも強みだと思ってます。

――書店員として「面白さ」を感じるのは、どんなときでしょうか?

石井 私たちが企画したキャンペーンについて、お客様がシーモア島で盛り上がっているのを見るとうれしいですね。企画を作るのも時間をかけてやっておりますので、しっかり吟味した内容が届いていると直接伝わってくるので、本当にシーモア島のお声はありがたいと思ってます。

――では逆に、苦労や悩みはありますか?

石井 先ほど情報収集のお話をさせてもらったんですが、どの作品がヒットするかという目利きが難しくって。いろんな作家様だったり出版社様が日々たくさん作品を出されているなかで、お客様に響く作品はどれかっていうのを考えて運用していくのは本当に難しいことだと思います。日々の情報共有のなかで面白い作品を逃がさないように、私たちも常にアンテナを立ててやっていかなきゃいけないところが大変なんですけど、楽しいところです。

――基本的にはSNSですか?

石井 SNSがメインですね。漫画好きの方が投稿されてる内容からでもヒット作が見つかるようなこともありますので、そういった漫画好きのメンバーがTwitterを日々追っかけたりとかもしてますし、弊社のSNS担当も業務の中でそういった検索をしていたりします。

――最初に少しお聞きしたのですが、コミックシーモアさんならではの販促キャンペーンについて教えてください。

須藤 独自色の強い企画をやっていると思うんですけど、「2022年度に完結した作品BEST HIT!!」&「2022年度に発売した新作BEST HIT!!」というキャンペーンを行いました。ランキングで作品をユーザーにお届けするのは、よくある手法だと思うんですが、もうちょっと新鮮な切り口でランキングを作れないのかな? みたいな議論があったんです。

そのときに出たのが、これまで楽しませてくれた漫画と、これから始まっていく漫画の二本立てでキャンペーンを作ったら面白いんじゃないかと。そしたら、ものすごく大好評をいただきまして。「これはまたやろう!」ということで、2022年度版を展開させていただきました。冒頭でも話しましたが、みんなで議論しながら、データではないところで考えて成功した良い例だと思ってます。

――完結作品のランキングが特にいいなと思いました。「完結してるよ」「一気に全部読めるよ」ってまとめてくれると、本当にありがたいです。

須藤 毎回「もうアイディア出えへんやろ!」みたいな気はしてるんですけど(笑)。誰かが言ったところに、他の人のアイディアが足されて足されて……そんな感じです。