中高年に差しかかり「昔よりも太った」と感じ、4月からスポーツジムに入会していませんか? 「体重を落とす」という結果を出すために必要なのは運動ではありません。変えるべきなのは「食に対する意識」と「食習慣」だけ。大人気運動指導者・森拓郎が、中年男性と切り離せないアルコールとの付き合い方について教えてくれました。

※本記事は、森拓郎:著『ヤセたければ走るな、食べろ!』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

焼酎は太らないはず…家で飲むなら?

A.缶チューハイ
B.瓶詰め焼酎の水割り

正解は、Bの瓶詰め焼酎の水割りです。

ここでは中年男性と切り離せない、アルコールとの付き合い方について考えてみましょう。

結論から言うと、ヤセるためにアルコールを断つ必要はありません。なぜなら、アルコールは少量であればストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を低減させ、ストレス解消に一役買ってくれるからです。

そもそも多くの現代人は、なんらかの品を楽しむという傾向があります。嗜好品は4種類に大別できます。糖質・アルコール・カフェイン・喫煙、たいていの男性は、このいずれかを好んでいるはずです。

「お酒(アルコール)が最も好き」という人は、「ごはんはさほど食べなくてもよい」という特徴があります。「お酒が飲めればそれでいい」というタイプです。そのような人は、食事面での改善がスムーズにいきやすいものです。

厄介なのが「糖質が最も好き」というタイプの人です。そのような人は、糖質制限を困難に感じるかもしれません。「なぜ糖質依存をやめられないのか」という根本的な問題に向き合うことが必要でしょう。

「糖質をどんどん摂ってしまう」という背景には、心的ストレスが影響している場合が多いです。糖質も、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑えてくれる働きがあるからです。ストレスの原因を根本的に改善できれば理想的でしょう。

一方、何も考えず「身近で手に入りやすいものを口に運んでいた」という習慣が影響していることもあります。その場合は「自分はこんなに糖質を摂っているのだ」と自覚することが大事です。

なお、「お酒も糖質も好き」という人は要注意です。

とはいえ、中年男性がお酒を無理に断つ理由はないことが理解いただけたでしょうか。

もちろん、「ヤセる」という目標を掲げるからには、アルコールとの適度な付き合い方が重要になります。お酒の選び方は次を参考にしてください。

■避けるべきお酒(血糖値を上昇させ、太りやすくする)

  • 糖質が含まれる醸造酒(ビール、ワインなどの果実酒、日本酒)
  • カクテル
  • 甘いリキュール類
  • 果実酒
  • サワー
  • 缶チューハイ

■飲んでもよいお酒

  • 糖質ゼロの蒸留酒(焼酎、ブランデー、ウォッカ)
▲家で飲むなら瓶詰め焼酎の水割り イメージ:kai / PIXTA

種類が多い焼酎について言うと、芋や麦、黒糖など、どのような原料で作られても糖質は含まれず、血糖値が上昇しないため、肥満ホルモンであるインスリンが出ることはありません。

とはいえ、アルコール自体がゼロカロリーというわけではないです。また、せっかくの蒸留酒を、甘いジュースなどで割っていたら意味がありません。

さらに踏み込んで言うと、最近、ダイエット志向・健康志向が強い消費者に向け、安価なカロリーオフ発泡酒やチューハイが数多く出回っています。たしかに「糖質ゼロ」であれば血糖値は上がりません。しかし、そのためにさまざまな甘味料や添加物が使用されていて、それが体によくないのです。

私が最も惧しているのは「お酒に弱いのに、立場上飲まなくてはいけない人」です。「肝臓でのアルコール処理能力が低い人は、日本人の約4割を占める」というデータが存在します。

「飲むとすぐに体が赤くなってしまう人」は「お酒に弱い人」なのです。そんな人でも、アルコールに次第に慣れて強くはなります。しかし、有害物質である「アセトアルデヒド」を肝臓で分解する能力が向上することはありません。

「お酒に慣れた」ように見えても、お酒の処理能力がアップしたわけではありません。宴席の雰囲気を壊さない程度に、アルコールを無理せず楽しむ姿勢をお勧めします。

摂取したアルコールを分解するときは肝臓に負担がかかり、ビタミンやミネラルが消費されてしまいます。肝心な脂肪燃焼の際に「ビタミンやミネラルが足りないとヤセづらくなる」という関係については、よく覚えておいてください。

私はよくノンアルコールビールを飲みます。「アルコール抜きのビール」とは意識せず、「スパークリングのお茶のよう」と捉えると、ぐんとおいしく感じますよ。