白熱のエース対決の勝者は・・・

援護をもらった直後、5回の佐々木のピッチングを振り返る。まず、先頭打者の杉本に対して8球を投じた。この球数は少なくできただろう。

続く宗佑磨に関しても6球投げたが、そのうち5球はストレートを投げている。スライダーの調子がよかったのを踏まえると、織り交ぜてもよかったのではないだろうか。その後の中川圭太に対しては、スライダー2球とフォーク1球で抑えた。

援護をもらった直後だったため、大事にいきすぎたこともあったが、この回の球数をもう少し抑えられていたら、もっと長いイニングを投げられただろう。

対するロッテ打線は5回、6回は山本由伸の前にランナーを出したのは四球のみ。4回のワンチャンスを活かせたが、それ以降は山本由伸に抑えられた。

山本由伸は6回でマウンドを降りて、101球、5安打、9奪三振、1四死球、1失点とエースに相応しい内容で、リリーフ陣につないだ。

佐々木は、疲れが見え始めた6回に一死2,3塁のピンチを背負う。このピンチのなかで、茶野篤政を三振に打ち取り、マーウィン・ゴンザレスはライトフライに抑えた。

7回は、先頭の森を四球で歩かせるが、杉本をフォークで併殺打にうち取る。宗もフォークでショートゴロに打ち取り、マウンドを降りた。

7回を投げて、105球、1安打、2四死球、11奪三振、無失点と完璧なピッチングを見せた。

最終的に、2対0でロッテが勝利。この日のエース対決は、佐々木に軍配が上がった。

この試合を総括してみると、先にマウンドを降りた山本由伸に関しては、序盤にランナーを背負ったが無失点で切り抜ける。4回に1点失ったものの、その後は危なげなく抑え、2年連続投手四冠の意地を見せた。

前年の日本シリーズでの故障から、WBCがあったために急ピッチで調整をしたことによる不安は残っているが、今シーズンも圧倒的なピッチングに期待していきたい。

佐々木に関しては、バランスよく配球が組み立てられたイニングは、スムーズに終えることができた。

しかし、ストレートに偏ったり、スライダーを活かしきれなかったのが原因で球数が増えたのを見ると、松川とのバッテリーを見たかった部分もある。よりスムーズに抑えることができれば、完封も可能だったに違いない。もちろん今後、佐藤とのバッテリーもより良くなっていくだろう。

成績を見ると、4月14日終了時点では、未だに防御率0.00を記録。奪三振率に関しては、脅威の15.23を記録している。K/BBは11.00とスゴすぎて言葉が出ないほどである。

昨シーズンも春先は、圧倒的な成績を残していたことから、WBCの疲労の影響も含めて、夏からパフォーマンスを下げずに投げられるかが課題だろう。

この試合で投げ合った山本由伸と佐々木朗希は、WBCで先発ローテーションを組んだように、現在のNPBの先発投手では文句なしで最強の二人だ。

山本由伸は、実績と実力的に申し分ないこともあり、近々メジャーリーグに挑戦することだろう。現時点でも完成されているように見えるが、年々成長を遂げており、まだまだ伸び代がある。

佐々木はプロ入り後、大事に育てられている。NPBでずっと活躍してほしいという気持ちもある。しかし、素材が素晴らしいだけに、若いうちにメジャーリーグに挑戦してほしいと思っている。

そのため、今シーズンから2〜3年のあいだに、シーズンを通して投げられるようになり、ぜひともメジャーリーグの舞台に立ってほしい。

ポテンシャルをみても、NPBだけではなくメジャーリーグでもトップクラスになれる器の投手である。体力さえついていければ、山本由伸の成績……またはそれ以上も期待できる投手だ。

▲歴代最強の投手になるポテンシャルを秘める佐々木朗希 写真:CTK Photo/アフロ

そして、ゆくゆくは歴代最高の投手になれる存在だと思っている。NPBのキャリアにおいて、現在ロッテの監督を務める吉井理人氏と二人三脚で、歴代最強と言われるほどの投手に成長することを期待していきたい。


プロフィール
ゴジキ(@godziki_55)
自身の連載である「ゴジキの巨人軍解体新書」「データで読む高校野球 2022」をはじめとした「REAL SPORTS」「THE DIGEST(Slugger)」 「本がすき。」「文春野球」などで、巨人軍や国際大会、高校野球の内容を中心にコラムを執筆している。今回、新たに「WANI BOOKS NewsCrunch」でコラムを執筆。Twitter:@godziki_55