新生活が始まり1か月。気を張っていた生活で疲れた心身をゴールデンウイークで癒せる人は問題ないかもしれませんが、五月病という言葉がある通り、うまくリフレッシュできない人もいるでしょう。バラエティー番組などの出演で大人気の疲労外来ドクター・工藤孝文氏が、疲労回復に効果のある食材を2つ紹介してくれました。

※本記事は、工藤孝文:著『かからない大百科』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

アメリカ人が飲んでいる疲労解消「チキンスープ」

アメリカでは、子どもが風邪などで体の調子を崩したときに、よくお母さんのチキンスープを飲むのだそうです。鶏丸ごと一羽と野菜をじっくり煮込んで作るスープは、体を温めて、元気にしてくれるのです。

これは鶏肉に含まれる疲労回復成分、イミダペプチドのおかげ。とくに鶏むね肉に多く含まれる成分で、煮込むことでスープに成分が凝縮され、食欲がなくても楽に体に取り込むことができます。このレスキュースープは、夏の巣ごもり生活で冷え&疲れが溜まった体にまさに最適なのです。

▲アメリカ人が飲んでいる疲労解消「チキンスープ」 NikDonetsk / PIXTA

実際に、アメリカのネブラスカ大学医療センターで、チキンスープの材料となる鶏肉や野菜に含まれる成分が、感染症により引き起こされる炎症を抑制する効果が証明されています。感染症にかかると増殖する白血球の一種で、炎症を引き起こす好中球の活動を抑えるのです。

巣ごもりうつにも効くチキンスープの作り方は、セロリ、にんじん、玉ねぎをバターで炒め、鶏むね肉、つぶしたニンニク、ローリエ、水を入れて2〜3時間煮込むだけ。味付けは、お好みで塩こしょうを。

「ネバネバパワー」のムチンでネバーギブアップ!

納豆や長芋のネバネバは、タンパク質と糖が結合してできる多糖類の一種。正式にはムチンと呼ばれています。体内の粘膜にも存在する成分で、ウイルスや細菌などの外敵に晒されている鼻やのど、腸の粘膜を強力に保護し、体を守っています。ですからネバネバ食材を積極的にとると免疫力がアップし、外敵に負けにくくなります。

さらに、ムチンには疲労回復効果や腸内環境の改善、ドライアイの予防、胃炎や胃潰瘍の予防、肝臓や腎臓の働きを高める効果など、たくさんの健康効果があります。

ムチンは熱に弱いため、加熱調理する際は低温で行うことをオススメします。また、水溶性で水に溶けやすいため、スープなどにする際は最後まで残さず飲むようにしましょう。

▲「ネバネバパワー」のムチンでネバーギブアップ! イメージ:sakura / PIXTA

ムチンを多く含む食べものは、納豆や長芋のほか、山芋、オクラ、なめこ、ツルムラサキ、モロヘイヤなど。

とくに納豆は、ネバネバパワーのほかに腸内環境の改善や美容効果など、発酵食品ならではの健康効果も満載です。調理いらずなので、気軽に食生活に取り入れてみてくださいね。