今思う、山田とは何だったのか?
中学卒業が近づいた頃、山田は私のことが心配すぎて「高校へ行っても、自分が担当するからな」と言ってきた。ハッキリ言って迷惑だった。
どちらにせよ、私は中学を卒業したら海外に行きたいと思っていた。だから、山田にそのことを伝えたら、「なんだ、やりたいことがあるのか。だったら応援するぞ!」といって、すぐに紹介状を用意してくれた。
そして、留学するためには、ちゃんと卒業しないといけないということで、遅刻や欠席がないようにサポートしてくれるようになった。毎晩、ゆきよと明け方まで遊んでいて朝起きられない私のために、翌日からモーニングコールがくるようになった。その電話を毎朝欠かさずしてくれていたのが山田だった。
それでも、正直、中学の3年間は山田のことが大嫌いだった。
「今日は家に帰って何をするんだ?」といちいち話しかけてきて、プライベートまで監視されているような気分になってウザかった。でも山田は、私の家の事情を知っていて、ちゃんとお父さん会えているのか心配していた。もちろん、私のお父さんはそのことをずっと知っていた。
だから私がお父さんに「今日も担任の山田がウザかったんだよ」と愚痴っても、必ず「あの先生が一番お前のことを考えてくれているんだ。だから、感謝した方がいいよ」と言われ続けた。当時は、その意味がぜんぜん分からなかったけど。
今考えたら、全てが私を心配しての行動で、
山田から私への愛情表現だったんだなって思う。
同級生のみんなは、数年前に山田に会ったらしい。
私が画家になって、リリー・フランキーさんのラジオに出演したりしていることも伝えてくれて、それを聞いた山田は「いつか、この中学で講演やってほしいな」と言っていたらしい。
子供の頃に想像していた、大人のBABI。
それは、ごくごく普通のかわいい女の子として育ち、今頃は一般的な女性の幸せを手に入れていたはず。もし、あの中学に通っていなかったら、そうなっていたかもしれない。良くも悪くも変な生徒ばかりいたモラル崩壊状態の環境で、一番繊細な中学時代を過ごした。そして、めちゃくちゃ厄介な先生に怒られまくったこと。
今のBABIがこうなっちゃったのは何のせい?
そう、全部、山田のせい!!
【おまけ】
先日、母校へ行って山田先生に会ってきました。思い出したら、会いたくなってしまったのです(笑)。
山田先生は、昔からやっていた、親がいない子供たちのためのボランティア活動を続けているそう。あと5年で定年だそうで、定年後もその活動を続けたいとのことでした。当時は本当に大嫌いだったけど、大人になって会うと、誰がみても良い先生だった。ありがとう。
ただ、会うなり「お前、久しぶりだな。そろそろゆすりに行こうかと思っていたんだよ」って、ゆすりって何だよ!
しかも、一緒に行った同級生が
「当時から山田先生がBABIのこと大好きだったのバレバレだったよ」」と言うと、
山田は「それに気づいていなかったのは、BABIだけだぞ」だって。
昔の彼氏・彼女みたいな、エモい話してんじゃねーよ!
久しぶりに会ったけど、
やっぱり、山田は山田だったよ(笑)。