無意識に利用されていた投資家とファンド

バイデン政権は2019年、商務省に命じてブラックリストである「エンティティ・リスト」を作成し、中国のビッグ・テックへの技術輸出を禁止してきた。

2023年3月からはファーウェイは全面禁止である。

アラン・エステベズ商務次官が下院外交委員会の公聴会で証言した。従来、水準の低い汎用半導体はインテルとクアルコムがスマートフォン向けにファーウェイに供給し、逐一、輸出許可申請を審査してきたが、これを“すべて”取り消す方針という。技術封鎖である。

「ワシントン・エギザミナー」(2023年2月28日)によると、ホワイトハウスは「4G販売を中止する。スパイ活動を支援した」という理由で、連邦通信委員会は国家安全保障上の懸念から2022年11月にファーウェイ製の通信機器の販売と輸入を禁止していた。

しかし、ある専門家は次の指摘をしている。

「米国の投資家やファンドは、これらの企業や環境で無意識のうちに中国政府と交わった可能性がある。さらに中国政府とビジネスおよび民間部門との複雑な関係を考えると、これらのAI企業が新技術に対応する可能性が高くなる。投資家が最も関心を持っている市場のニーズに対応するより、中国政府の政策の優先事項や圧力に西側は的確に対応する必要がある」(『博訊新聞網』2023年2月6日)

クリストファー・レイFBI長官は、スイスで開催されたダボス会議で「中国のAIプログラムの進展を深く懸念している」と述べた(2023年1月)。

▲クリストファー・レイ 写真:Wikimedia Commons

前述のCSET報告書は、バイデン政権がいかに中国のAI産業への投資を規制しても、中国の技術開発の進歩を完全に抑えることは不可能であり、同盟国との強調、支援が必要としている。

米国の対中政策の矛盾は甚だしく、2月7日に商務省が発表した数字は驚異的だった。

2022年度の米中貿易は、史上空前の6905億ドルだった。その内訳は、米国が中国から輸入したオモチャ・ゲーム・軽工業品などが5367億ドル。米国が中国へ輸出した大豆や穀物などが1538億ドル。米国の対中貿易赤字は3829億ドル!(ちなみに、ジャパンバッシングと騒がれた当時の日本との貿易赤字は、最大で800億ドルと「かわいい数字」だった)。

つまり、米国は対中技術封鎖を遂行する一方で、米中貿易は増やしているのだ。ところが誰もこの矛盾を一向に気にしていないのである。