政治の最前線に立ち続ける

「若い方が自宅で亡くなっては絶対にいけない」

朝日新聞2022年10月11日で報じられた言葉だ。吉村氏が2期目を目指して立候補表明を正式に行ったのは、2022年12月20日の大阪維新の会の全体会議。47歳の吉村氏は、維新の仲間や取材に詰めかけた記者たちの前で「次の大阪府知事選に出馬したい。二重行政を昔に戻さない。大阪市長とタッグで大阪の成長を目指します」と力強く決意を語った。

吉村氏は、2015年大阪市長選に初当選。2019年には、松井一郎大阪市長と入れ替わる形で市長を辞職し、府知事に当選。吉村知事の府知事1期目は、新型コロナウイルスの対応に追われた任期だったと言っても過言ではない。

2020年、コロナ禍のなかで行われた大阪都構想の住民投票は否決。この否決判断を受けて、松井一郎氏は次の大阪市長選へ出ないことを表明し、引退を口にしている。吉村氏も都構想再チャレンジは「もうしない」と言明した。

一部のメディアは「吉村知事再選で3回目の都構想チャレンジか?」と書いたが、僕は“本当にやるのかしら”と、その見方には懐疑的だ。もし住民投票を行うとしたら、機構や制度の違いを相当打ち出すことと、住民への説得が必要になると考える。

それよりも、2025年の大阪・関西万博開催の絶対的な成功への取り組みと、コロナで減速した大阪経済の復活、そしてまだまだ道半ばの行政改革を断固進めるべきではないかと考える。

政策の評価や無駄の点検、財政健全化への指針の再点検、そして大阪経済が元気を取り戻す政策と社会福祉の充実が挙げられる。

確かに、大阪城公園の周辺にあったブルーテントやホームレスの集団は消えた。大阪市の犯罪発生率も下がり、“片道切符”と揶揄された、労働者の貧困や、西成区の生活保護給付の対象者も改善してきている。

しかし、まだまだ解決しなければならない大阪の“影”があることも事実だ。吉村氏の新型コロナウイルスへの対応は、メディア発信を逃げずに行った。失敗もあったが、お役所言葉を避け、市民が理解しやすいわかりやすい言葉を用いた。

丁寧に、自らの言葉で伝え続けた。この「若い方が自宅で亡くなっては絶対にいけない」という発言には、吉村氏の気持ちが込もっている。

未曾有のパンデミックを乗り切った知事。全ての行動や手腕が最良だったとは思わないが、少なくとも不安を払拭し、しっかり発信を続けたことは評価したい。