元国税職員でファイナンシャルプランナー(FP)、さらに2023年3月には東京大学文科二類に合格した芸人・さんきゅう倉田が、著書『だまされて大損しないために! 15歳から知っておきたい お金リテラシー超入門』(主婦と生活社)を発売した。
吉本芸人のなかで最もお金のことに詳しい彼が、子どもたちでも理解できる「お金の知識(=金融リテラシー)を学ぶ本」として、わかりやすいキーワードやイラストで、大人もハッとする情報や考え方がまとめられている。この本を書こうと思ったきっかけ、そして東大受験に挑んだ経緯、ニューヨークや鬼越トマホークら同期についてなど、ニュースクランチ編集部がインタビューした。
大人になってから「お金」を勉強するのは遅い
――なぜ「15歳」をキーワードとした金融リテラシーの本を出そうと思ったのでしょうか?
さんきゅう倉田(以下、倉田) 最近は金融庁や国税庁、自治体も含めて金融教育を積極的に進めていますが、その前から僕は“子どもたちには金融教育をするべきだ”と思っていて、ボランティアで小学校に行って、税金教室を開いていました。
小学6年生のところに行くことが多いんですけど、彼ら彼女らは経験がないので、理解できることが限られているんですよね。そういったことを踏まえると、こちらの話が理解できて、かつ、 そろそろ社会に出ることを考える「15歳」がいいのかなと思いました。
――そういう理由があったんですね。小学生の皆さんと税金教室で触れ合うなかで、倉田さんも驚かされることなどありますか?
倉田 相続税とか事業税とか固定資産税とか、税目を知っている子がいたりするんですよ。そういうのって子どもの日常生活には出てこないですよね。どういうタイミングで勉強したのかはわからないですけど、子どもっていろいろ知っているんだなって驚きました。
――すごいですね。倉田さん自身は、金融リテラシーの高い子どもだったのでしょうか?
倉田 そうではなかったですね。国税局に勤めていたときも、仕事として税金の勉強をしていただけですし、能動的にお金全体のことを勉強しようと思ったのは、芸人になってからです。
――小学生の皆さんと触れ合うことで「子どもの頃から金融リテラシーを持つことの大切さ」に気づいたわけですね。
倉田 そうですね。社会に出てから「源泉徴収票の見方がわからない」「所得税の税率がわからない」とか、誰も教えてくれなくて困ることってあると思うんですよ。大人になってから勉強するのでは遅いので、なるべく早いうちから学んだほうがいいな、とは思っていました。
――これまでもお金に関する本を出版されていますが、今回はどんなことを意識して執筆したのでしょうか?
倉田 わかりやすい書き方にするとか、専門用語をなるべく使わないとか、用語を使う場合でもしっかり説明をするとか……大人向けの本とは違う書き方がいいなと思って、気をつけながら書きましたね。
勉強もそうなんですけど、情報量が多いと“イヤだな”って感じるじゃないですか。この本は、好きな図鑑を読んだり、漫画を読んだりするときとは違う。もしかしたら、子どもが求めていない情報を提供する可能性もあるので、なるべく見やすく、情報を押し付けないように意識しました。
――特にこだわった部分を教えてください。
倉田 たとえば、時給とか、地域ごとの家賃とか、学費とか、子どもたちが社会に出て関係がある分野を、なるべく手厚くしようと思っていました。お金の話って難しいけど、簡単なこともいっぱいある。そういうのを知るだけでも、金融リテラシーが高まると思うんです。