「AI時代」に生き残るのはKYな人々?
僕自身、研修医の新人時代に「誰もやっていない長期の海外旅行」(しかも12日間)を夏休みに実行したことがあります。一部のひんしゅくを買ったものの、僕が前例のないことをやったことで、その後、みんなが長期休暇を取れるようになりました。
僕がまるで空気を読まない行動をとったことで、以前からの慣習が破られ、いわば自由な新しい空気が流れ出したわけです。
もちろん、僕がやったことはたいしたことではありません。
でも、空気を読まない、根回しもできないアスペルガーの人がとる行動は、ときに非常に合理的で、斬新な結果をもたらすことがあります。アスペルガーに代表される、コミュニケーションも苦手な「生きづらい系」の人間こそ、現状維持の古い体質をぶち破る可能性を持っている。そういうことが言えると思うのです。
もうすぐ間違いなく「AI(人工知能)」の時代が来ます。
人間の感情の機微までは理解できないだろうと考えられていたAIですら、すでに「空気を読む」能力を持ち始めています。
たくさんの職業・役割が、いずれAIに取って代わられていきます。
怖いことに、人が長いあいだ誇りを持って取り組んできた職業も「これからはAIのロボットでいいや」ということになり、「あなたはもうご用済みです」とされる人間が、今後どんどん増えてくるはずです。
平均的な能力しか持たない人間は、どんどんAIに置き換えられてしまう可能性が高いのです。
しかし、そんな時代が来ても、もともと空気を読まず、自分の得意なところにだけ集中してきたアスペルガー的人々は強い。枠にハマらないとんがった能力は、AIには取って代わることができません。
言ってみれば、人間なのにAI的な考え方を先取りしていたのがアスペルガーな人たちです。“人間AI”はAIに淘汰(とうた)されることは、きっとないでしょう。
そして、どんなに時代が変わっても、自分の関心の向くところに集中し、いつかまた革新的なことで世の中を変えていくだろうと思います。