秋広優人の活躍と梶谷隆幸の復活

その他の選手を見ると、やはり秋広優人の活躍からは目を離せない。

交流戦はもちろんのこと、4月から6月まで打率3割以上をキープしており、現在は3番に座っている。

キャリアで初めて一軍で試合に出続けていることから、疲れが出始める時期ではあるが、他の選手がフォローしながらシーズンを完走してほしいところだ。

直近では、梶谷隆幸もチームを引っ張っている。巨人移籍後は、怪我に苦しんでいた梶谷だが、6月15日の西武戦でサヨナラタイムリーを放った。

ただ、守備面を考えると、現在2軍で調整しているルイス・ブリンソンを戦力として、うまく起用していきたいところだ。

優勝を狙うにはロースコアの接戦をモノにすること

この交流戦では、不安視されていたリリーフ陣が頑張った結果、勝ち越せたと言ってもいいだろう。

ただ、セ・リーグ相手では打力の違いを含め、状況が変わっていくと見ている。

先発陣は、開幕からチームを引っ張っている戸郷翔征やフォスター・グリフィンを筆頭に、復帰した菅野智之、ローテーションに定着しつつある山﨑伊織を中心にして、安定した戦いができるかが重要になっていく。

4月から奮起していたサウスポー・横川凱は、疲れが見え始めていることから、ローテーションを1回飛ばしてもいいだろう。

交流戦では、もったいない試合もいくつかあった。そのなかで挙げるとすると、最後の楽天戦2試合だ。

今シーズンは打撃陣が12球団トップクラスの成績を残しているため、両チームが4点以上入れる試合は力技で勝利できるが、ロースコアのゲームには弱い印象がある。

楽天との最後の2試合はもちろんのこと、交流戦前の阪神との3連戦も、ロースコアゲームをモノにできない弱さが顕著に現れた。

その他の試合を見ても、5月6日と7日の中日戦はいずれも1対2で敗れている。

リリーフが弱いだけに、ある程度リードをした展開でないと難しい試合になることや、打線は水物のため、投手戦になると不利になるのは否めない。

また、2021年の9月3日から9月5日の阪神との3連戦で1勝もできなかった以降の巨人は、調子がいい時期に一気に上がっていく馬力を感じないことや、つめが甘いのも気になる点だ。

交流戦に関しても、楽天に対して勝ち越しをして、気持ちよく締めくくりたかったなかで、エラーで出塁を許し逆転ホームランで終了するあたりは、優勝を目指すうえで気になるところだ。このように、勝ち切る部分の物足らなさも感じられた交流戦だったのは間違いない。

ただ、原政権だけを見ると、これまで交流戦で勝ち越しをしたシーズンはリーグ優勝を果たしている。

最後は交流戦優勝を逃したものの、春先と比較するといいチームになり、調子が上向いているのは確かだ。

8月には、一気に阪神とDeNAに並んで追い越すぐらいの勢いを見せて、3年ぶりのリーグ優勝を果たすことに期待したい。


プロフィール
ゴジキ(@godziki_55)
野球著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)や『東京五輪2020 「侍ジャパン」で振り返る奇跡の大会』、『坂本勇人論』(いずれもインプレスICE新書)、『アンチデータベースボール』(カンゼン)を出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディア取材多数。最新作は『戦略で読む高校野球』(集英社新書)、『21世紀プロ野球戦術大全』(イースト・プレス)。Twitter:@godziki_55