仕事での失敗も「ネタにできてオイシイ」
――イベントなどを運営するうえで、「趣味としてのお笑いを当たり前に」という活動理念について、相手の理解を促す機会もあったと思います。こうした新しい価値観をわかってもらうのって、簡単なことではないですよね。
奥山 そうですね。営業マン時代も、新しい製品やサービスについて客先で説明する機会が多かったのですが、そのときに意識していたのは「性能ではなく機能を語る」ということだったんです。要するに、そのコンテンツがどういうものかをわかってもらうのではなく、それによって“皆さんの生活にどういう影響を与えるか”をお伝えすることに重きを置くんです。
なので、この活動をするうえでも、“趣味としてのお笑いが当たり前になったら、どうなるか”というビジョンを伝えるべく、「お笑いの芸を磨けば、社会人としてこんな場面で役に立ちますよ」「社会人として壁にぶつかったときも、お笑いによってこんなふうに心が救われますよ」というお話をしています。
――ご自身のnoteの記事にも「精神的にツラい社会人には、お笑いがいい」と綴られていましたね。
奥山 はい。社会人をやっていると、成功もあれば失敗もあるものじゃないですか? お笑いをやっていると、失敗しても「ネタにできてオイシイ」という考え方になるんですよ。なので、社会人としての「うれしいこと」と「悲しいこと」が、お笑いをやると「うれしいこと」と「オイシイこと」に変換される。そうなると、人生がもっと楽しくなるし、失敗を恐れずにすむからアクティブになれるんですよね。
――すごく納得です。過去に奥山さんは「平日のあなたの仕事がフリになる」とも仰っていましたが、社会人としての“失敗=オイシイ”ことって、プロの芸人さんともまた違うんでしょうね。
奥山 まさにそうですね。例えば、塾の先生と学校の先生のコンビ「ガーベラガーデン」は、それぞれの教育スタイルの違いを、お互いにディベートするような形でネタを書いていたりしてます。それぞれのプロフェッショナルの世界における、血の通ったエピソードが披露されるので、そこがプロ芸人の世界にはない魅力だと思います。
企業に“お笑い部”文化が定着するのが理想
――『全日本アマチュア芸人No.1決定戦』も『社会人漫才王』も、参加条件として「プロでないこと」が掲げられているところが共通点になっています。それだけお笑いの世界における「アマチュアリズム」を、奥山さんが重要視されているということですね。
奥山 これだけお笑いの文化が浸透している日本なのに、趣味としての場が確立していないのはおかしいと思うんですよ。むしろ、僕がこの活動を始めた当初は「社会人でお笑いやるなんてダサい」「プロをナメるな」という声も多かったんです。
それも一種の美学ではあるのですが、でもお笑いってすごく日常的なものだし、プロのためだけではなく、みんなのためにあるものだと僕は思うんですよね。
これまでは、学生お笑いをやっていた方々に中心となって参加してもらっていましたが、最近は「ネタをやったことが人生で一度もない」という方々を積極的に対象としています。例えば、2時間受講すれば誰でもネタを書けるようになるワークショップを、企業や自治体などで実施したりも。いつか、多くの会社に草野球部やフットサル部があるように、企業に“お笑い部”文化が広まって定着してほしい、それが僕の理想ですね。
日程:2023年7月8日(土)
時間:17:00開場 / 17:30開演 / 20:00終演予定
会場:座・高円寺2(高円寺駅より徒歩5分)
大会HP:https://ama-1.com/2023_final
チケット代:観覧2,000円(当日券2,500円)、配信1,500円
購入ページ:https://tiget.net/events/247908