自分だけの世界観でギャラを発生させたい

効率だけを考えてたら、誰かが主催するライブに数多く出て、ネタを試したほうが絶対コスパはいいはず。精神的にも肉体的にも健やかに過ごせる。

それを引き換えにしても欲しいものがあるのだ。それは何か?

「安定」だ。

我々のような芸能界のヒエラルキーの下にいる芸人は、いろんな仕事のなかで駒として動かないといけない場面が多々ある。いや、それしかないような気がする。

ある場所では前振りだけに使われたり、ある場所では自分がいいと思えない扮装をさせられたり、あるいはシンプルに雑に扱われたり……。

それがイヤというわけではない、それは立派な仕事だし、ギャラを頂いている立場で文句など一切ない。

ただ、それを繰り返してると、だんだん心が不安定になる。

すると、自分の中の鬱屈したクリエイティブ精神が爆発する。自分だけの世界にお客様を呼んで、そこでお金を発生させるという社会を誕生させたくなる。

そこにしっかりとしたこだわりが生じるために、どえらい労力とプレッシャーが生まれる。その苦行を毎年のように経験していれば、そりゃあ、単独ライブをしてない芸人のことをちょっと軽んじるよね。

とまあ、無邪気に想像して書いてみたが、100%正解ではないだろうけど、間違いでもないだろう。

どうですか?

今年単独ライブをしただけの芸人の意見は? 思ったより老害でしょう?

ただ恥ずかしいのは、私の中に爆発させたいクリエイティブ精神がないということ。

実は「駒」であることに安定を感じるし、体張って体にあざを作る仕事でも、妙に達成感がある。

最近はいろいろとお仕事をいただけるようになったが、どうせすぐに暇になるだろうから、せっせとクリエイティブ精神に火をつけつつ、できるだけやってみますよ。

そんな単独ライブがあっていいでしょう。

あと、皆さまからの感想に「いや〜、客は男が多いね〜」ってのが多かった。めちゃくちゃ多かった。だから次の単独は女性のお客様お待ちしてます。

そしてご挨拶。

突然ですが、しばらくの間こちらでコラムを書かせてもらいましたが今回で最終回です。

またどこかで書けたらと思います。それまで。

(構成:キンマサタカ)

『みなみかわのないないはなし』は今回が最終回です。短い間でしたがお読みいただき、ありがとうございました!!


プロフィール
 
みなみかわ
1982年生まれ。大阪府出身。2015年7月〜2019年1月まで「ピーマンズスタンダード」として活動。 平成25年度 漫才新人大賞決勝進出。呼吸法で痛みをなくすロシアの武術「システマ」を体得。2008年にはピンで『あらびき団』(TBS)でプチブレイク。『エンタの神様』(日本テレビ系)にも定期出演。『ゴッドタン』(テレビ東京)、『お笑い向上委員会』(フジテレビ)、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)など人気番組への出演が続き、再ブレイク。Twitter:@p_minamikawa、YouTube:みなみかわ