夏連覇を狙う仙台育英は県予選で圧倒的な強さを見せる

昨年、東北地方勢初の甲子園優勝を成し遂げた仙台育英は、宮城県予選で圧倒的な強さを見せて甲子園の切符を勝ち取った。

大きな山場は、やはり準々決勝の東北戦だったに違いない。

その東北に対しても、試合中盤までは競り合ったが、8回にハッブス大起から齋藤敏哉が満塁ホームランを放ち、勝利した。

この試合では、先発の湯田統真が完封勝利を記録。前年の夏は、継投策で甲子園を制したが、試合の状況や点差などを見ながら、完投させていく采配も見られた。

仙台育英は宮城県大会で2失点しかしておらず、打撃面を見ても毎試合5得点以上を記録している。

投手力のイメージが強いなかで、野手陣も優勝メンバーの橋本航河や山田脩也、尾形樹人といったセンターラインの選手が揃っている。

秋季大会ではチーム打率が2割台、センバツでは長打が1本のみと投手力頼みの試合が多かった。

昨年夏を見ても、投手力が騒がれていたなかでチーム打率は.397を記録している。

そのため、打撃力の向上が夏連覇へのポイントなのは間違いない。センバツでの悔しい敗戦から一回り成長して甲子園に出場する。

順調な勝ち上がりを見せる大阪桐蔭

甲子園で2大会連続で逆転負けを喫している大阪桐蔭は、この夏、2018年以来の頂点を目指す。

エースでありキャプテンの前田悠伍は、センバツ以降の公式戦の登板は全くせず、春季大会はベンチ外だった。

西谷監督は「じっくり練習させたほうがいいと思った。経験は十分積めている。他の投手を試すこともできる」とコメントし、他の投手の底上げを図った。

前田は、久々の公式戦の登板となる東海大大阪仰星戦で2本のホームランを許し、本調子ではなかったように思えた。

公式戦以外の実戦登板もほとんどなかったことから、実戦を通しての体力や試合勘などは懸念材料である。

ただ、大阪桐蔭の選手は勝ち上がるにつれて、調子を上げていくことが比較的うまいチーム。過密日程のなかで前田が本来のピッチングを取り戻せば、夏の頂点に輝くことへ近づいていくことだろう。

総合的なチーム力を見ると、現段階では仙台育英のほうが投手陣は上だ。そのため、センバツのときに課題だった打線の更なる向上は必要不可欠だ。

前田以外の投手は継投策で勝ちを拾いつつ、徳丸快晴・ラマル・ギービン・ラタナヤケの2年生コンビの主軸が夏の予選で成長を遂げ、盤石な体制にしていきたいところだ。

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これから各地で2023年夏の甲子園出場校が決まっていく。大会初日となる8月6日がいまから待ち遠しい。

▲高校野球の聖地・甲子園球場 写真:minack / PIXTA

プロフィール
ゴジキ(@godziki_55)
野球著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)や『東京五輪2020 「侍ジャパン」で振り返る奇跡の大会』、『坂本勇人論』(いずれもインプレスICE新書)、『アンチデータベースボール』(カンゼン)を出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディア取材多数。最新作は『戦略で読む高校野球』(集英社新書)、『21世紀プロ野球戦術大全』(イースト・プレス)。Twitter:@godziki_55