日本のファンタジスタ・小野伸二に一目惚れ

「今年はすごいヤツが入ってくるんだよ! Jリーグの全チームから誘われてたんだぞ!」と、6歳の僕に父がうれしそうに話していたのを今でも覚えています。

その数ヶ月後のシーズン開幕戦、僕はその選手に一目惚れをしました。

寄せてきた相手を浮き玉でかわす、今まで見たことのなかったかっこいい蹴り方(左足の外側にあるボールを右足ヒール)で真後ろの味方にパスを通す。軽やかに舞うようなプレーは、僕が今まで見てきた選手たちとは全く違う競技をしてるようにすら見えました。

今思えば初めて見た「ファンタジスタ」という人種でした。

その選手の名は小野伸二。

そこから小野伸二という選手への憧れは加速し、小学校の頃には『小野伸二物語』という本を繰り返し読み、高校に入ると、父のタンスからフェイエノールトの14番のユニフォームを借りパクして着ていました。

母の「あなた(父)より、直弘(僕)のほうが似合ってるんだから、直弘にあげなさい」

という鶴の一声は、思春期ど真ん中にも関わらず母を抱きしめたくなるくらいうれしかったです。

そんな僕に小野伸二選手の生まれ育った沼津との縁をもたらしてくれたのは、尊敬する兄さんであるSC相模原の岩上祐三選手。

祐三さんとは何度も会ったりしてるわけではないのですが、芸人ではあまりいない、部活時代の先輩のような振る舞いで接してくれるのが懐かしく、また優しくて可愛い人なので、僕は兄さんのように慕っています。

そんな祐三さんがこの夏、ザスパクサツ群馬からSC相模原へ移籍したこともあって、応援に行くことにしたのです。

ということで、アウェーゲームではありましたが静岡県の沼津へ。

鈍行電車ならば、我が家(東京と神奈川の境目)から2000円弱。案外安い。時間も2時間ほどということで、書き物をしたり、作業してればあっという間です。

作業がひと段落して、沼津までまもなくということで「今沢団地」と検索。今沢団地とは小野伸二選手が生まれ育った場所のこと。僕にとっての聖地です。

今沢団地の最寄り駅は沼津駅ではなく、隣の片浜駅の近くにあるということで片浜駅へ。

前にもこのコラムに書いたことがあるかもしれませんが、僕の旅のこだわりの一つに「攻略本を読まない」というのがあります。

RPGには攻略本がつきものですが、僕は攻略本を読んでクリアするのが昔から好きではなく、旅行でもなるべく旅先のことを下調べせず、「人からたまたま聞いた」とか、「調べてないのに情報のほうから寄ってきた」ことを頼りにしたいのです。

たとえコスパやタイパが悪くても、そういう旅のほうが感動できるのです。

〇普通では考えられない、小野伸二の神業トラップ![Jリーグ公式チャンネル]