優勝が見たい! と初めて心から言える
そして、今回の欧州遠征。日本代表がドイツサッカー協会に招待される形でアウェーで対戦することになったわけです。
ドイツサッカー協会は日本代表の移動や宿泊費も全額負担、つまり日本にリベンジせずには先に進めないという強い思いが感じられました。
またドイツ代表は、ここ数試合が絶不調で、日本戦はいわば背水の陣で挑む戦い。負ければ監督がクビかもという、ある種公式戦より勝敗にこだわる本気のドイツとの真剣勝負だったのです。
が、上田綺世選手、菅原由勢選手、伊東純也選手など、今回躍動したのは日本の選手たち。なかでも他の選手が抑えるのに苦労していたザネを完封した冨安健洋選手はさすがでした。
一方、チームがうまくいっていないなかでも、ボールの受け方ひとつで相手のズレを作り出し、マークをズラす必要性を日本に押しつけたギュンドアン。そして、そのワンチャンスを仕留めたザネはすごい。
技術だけでなくゲルマン魂というものを見せてくれたキミッヒ。テア・シュテーゲンも世界トップクラスのGKの実力を見せてくれました。そして、ドイツが2人で止めにかかる三笘薫選手や、守備に追われる時間に出場して、守備の仕事を完遂しながら2アシストをした久保健英選手も、世界のトップにいるのだと感じることができました。
そしてご存知の通り4-1の完勝。今度は弱者の戦いではありませんでした。日本が複数得点差でW杯優勝国に勝利したのは史上初です。(すがや調べ)
日本代表を大河的見方をすると、僕が菅原由勢選手を初めて見たのは2018年のルヴァンカップの名古屋グランパスVS浦和レッズでした。味方のパスが伸びてしまい、スライディングしても追いつかずピッチを割ってからボールを拾った菅原選手。
と、同時にレッズの選手に
「ボール!!」
と主張され、ピッチサイドから素直に投げ渡した結果、本来なら自分が守らなくてはいけないはずの無人の右サイドにスローインを投げられ、果てしなくぶっちぎられた。それが僕の知っている菅原選手の最初の記憶です。
そんな素朴で、まだサッカー選手としては必死さというか集中力というか少し足りてなくみえた彼が、いま完全に代表の右サイドを掌握しようとしています。
あの子がこんなに立派になって……というのは、浦和レッズの伊藤敦樹選手がゴラッソを決めたトルコ戦でも感じることになるのですが、この感覚が日本サッカーを応援している一番の理由なのかもしれません。
サポーターにとって選手はみんなうちの子であり、よそのチームで育った子も近所のサッカー小僧なんです。
また、ドイツと日本の因縁のなかで生まれたヒールといえばリュディガー。レアル・マドリードでの素晴らしいプレーを知ってるだけに嫌いではありませんが、W杯を見た日本人なら相手を小馬鹿にした浅野拓磨選手の横での煽りランは
「なめんなよ!」
という思いが生まれますよね。
先日の試合も思春期くらいメンタルが不安定で、途中からゲルマン魂のゲの字も感じないほど集中を切らしたリュディガー。翌日にドイツ代表監督のフリックが解任されましたが、新監督のもとでモチベーションを燃やし直して、次のW杯で日本の前に立ちはだかったら……。
それは燃えるな。日本サッカー史における最大のヒールになってくれ。いやリュディガーに限らず、この2試合の屈辱を胸に刻み込んだドイツと戦うことになったら、それは日本サッカーの歴史上最大の戦になるかもしれませんね!!
俺はそういう因縁とか、ドラマとか、そういうのにあふれた試合を勝ち上がって優勝する日本が見たいんだ。
あれ? 俺、日本代表の話するとき、初めて優勝が見たいって心から言えたな。日本、強くなったんだな。
文字数の関係で今日はここまで。
次回はトルコ戦の感想。そして、僕が見てきたサッカーで最も熱くなったユーロ2008のミラクルターキーの話でもしましょうかね!!