球界のエース:ゲリット・コールへ弟子入り

ここまでは「ヤンキースがなぜ山本選手を獲得したいか」について取り上げましたが、今度は逆に「山本選手がなぜヤンキースへ入団をすべきか」について触れさせてください。ここからはあくまでも筆者個人の意見です。

前述のとおり、ヤンキースには不動のエースであるゲリット・コール選手がいます。

2019年オフに9年324Mドルという超大型契約を締結以来、4年間ほぼ怪我なくローテの大黒柱を務めました。今季はサイ・ヤング賞受賞の筆頭候補となっており、受賞をした場合は輝かしいキャリアのなかでも初の快挙となります(19年、20年は2位、その他トップ5入り3度)。

そんなコールの圧倒的な投球は、MLBを少しでも見ている方であればよくご存知のはずですが、彼の投球に現れない価値があります。それは極めて高い野球IQ、そして異常なほどの野球熱に伴う、非正式コーチとしての存在です。

コールは登板日以外でも、ほぼ必ずダグアウトの最前線から一球一球をしっかり見届けており、投手・野手・コーチ問わず常に何かとアドバイスや気づきを話している様子が伺えます。また、投手へのアドバイスはわかりやすく、配球や球種のグリップを説明している場面が多く見られます。しかしコールはそこで止まらず、野手やコーチにも打席でのアプローチや守備にまで言及をし、それが相応に受け入れられることが多いようです。

昨オフにメッツ入りを果たした千賀滉大選手は、殿堂入りが確実視されるジャスティン・バーランダー選手(現ヒューストン・アストロズ)とマックス・シャーザー選手(現テキサス・レンジャーズ)から多くの学びを得た以上に、山本選手がヤンキース入りを果たしたら、コールが自身の持つ全知識を愛弟子の山本選手に注入することは確実と言えるでしょう。

余談ですが、コール選手はトレバー・バウアー選手(横浜DeNAベイスターズ)と大学時代の同級生であり、共にカルフォルニア大学ロサンゼルス校のローテを守ったチームメイトでもありました。しかし、2人は大学時代から仲が悪いことは有名な話。コール選手がドラフトで総合1位指名、バウアー選手が総合3位指名でプロ入りを果たし、球界を代表するエースに成長を遂げる最中も、犬猿の仲が示唆される場面が多々ありました。

それでも2人に共通するのは前述の“野球オタクぶり”。横浜でもバウアー選手が多くの投手に自身の教えを提供している姿が、(皮肉にも!?)ニューヨークでのコール選手の姿と重なって見えます。

聖なる背番号「19」の後継者へ

2020年オフに退団をしてしまった田中将大選手が残した背番号「19」ですが、じつはここ3年間、誰にも支給されていません。永久欠番とまではいかないものの、7年間の活躍を踏まえると次に19番を支給すべき選手を慎重に見極めていることは間違いないでしょう (松井秀喜選手の背番号「55」が、松井選手と比較をすると成績もスター性もパワーも足りない選手たちに支給され続けてしまっているのを見るとなおさら……)。

しかし日本の大エース、スプリット使いの右腕(山本選手のフォークはメジャースカウトには「スプリット」として認識されているようです)という共通点を多く持つ山本選手が身に付けるには、最適な番号ではないでしょうか。

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プロフィール
KZilla(ケジラ)
ニューヨーク・ヤンキース、およびMLBの魅力をTwitter、note、ラジオなどで発信し続ける注目の野球アナリスト。ニューヨーク育ちの英語力を活かした情報収集力と分析力は、コアなファンからも高い評価を得ている。ニューヨークに誕生した新星ジェイソン・ドミンゲスのケガに絶望していたが、今は山本投手の入団を夢見ながら心のバランスをなんとか保っている状態。X(旧Twitter):@TokYorkYankees、note:KZilla|note