一方的な主張では部下は動かない

以下は、ある会社の上司と部下の話です。

上司から私は、部下のD君との関係を変えたいと相談されました。「失敗してもいいから何度も提案する姿勢が欲しいんですが、いつも1回でやめてしまうんですよ」と言うのです。

それを聞いた私がD君と話してみると、失敗するのが怖いと言います。みんなに迷惑をかけることを気にしていました。

上は「もっと積極的になれ!」、下は「皆が迷惑するようなチャレンジはできない」と考えているわけです。全く話がかみ合っていないな、と私は思いました。

そこで私は、D君と一緒に、提案回数を増やす方法を考えました。上司の求めていることも明確にあぶり出していきました。

それから少し経って上司の人と会う機会がありました。そのときに、「やっとやってくれるようになりましたよ!」とすごく喜んでいたのです。相手の考えていることを知り、それに応えるような動きをすることで、関係は良くなったのです。

このパターンは、部下が上司に歩み寄っていますが、逆のパターンでも人間関係は良くなるはずです。コミュニケーションを恐れて、距離を置き続けると、永遠にわだかまりは残ります。上の世代も下の世代も、「何を言っても理解されない」と決めつけて、コミュニケーションを放棄してはいけません。

一方的な主張では部下は動かない イメージ:PIXTA

「あの人はこう考える」「自分はこう考える」お互いに、今までの人生の中で、自分なりに正しい考え方があると思っています。相手の考えも正しく、自分の考えも正しいのです。どちらも間違っていないし、どちらも正しいのです。

各々が正しさを主張して、相手を嫌ったり、拒絶していては、歩み寄ることはできません。相手の考えを受け入れ尊重する気持ち、相手を理解する努力をしなければ、関係は永遠に良くならないのです。

自分が相手と接するときにどう考えているのか、どうすれば関係が良くなるのか、課題を設定して自分なりの解決策を探していきましょう。

以下に、ある工場のラインリーダーが紙1枚にまとめた、自主的に動けない部下への「課題解決法」の事例を掲載しておきます。

ぜひ参考にしてみてください。

工場ラインリーダーの事例 『紙1枚で仕事の課題はすべて解決する』より