全員の「努力」がチームを結束させることを学んだ
社会人になってから、ベンチャー企業を立ち上げて成長する組織を作り、いまは「政党COO」として維新の会が与党へと飛躍するための組織改革に取り組んでいますが、ラグビー部時代に主務として選手とスタッフ合わせて約100名の組織を取り仕切るなかで、ささやかな成功体験を得ることができたことは「原点」の1つと言えるでしょう。「将来は政治家や経営者になってみたい」と思うようになったのもこの頃です。
筑波大ラグビー部は、早稲田、慶應、明治、帝京などの強豪がひしめく「関東大学対抗戦Aグループ」に所属していて、私が学生時代には、リーグ内で5〜6位争いをしていました。5位までが全国大会である大学選手権に出場でき、6位なら出られない。そんななかで始まった序盤戦、4〜6位を争うライバルチームに2連敗して絶望的な状況となり、チームの雰囲気は最悪になりました。
しかし、主将や副将をはじめとする4年生が結束し、チーム全体を鼓舞し続けることでスイッチが入ったチームはシーズン中に急成長、30年以上ぶりに優勝候補の明治と慶應の両校を撃破。早稲田には負けましたが、最終順位は3位となり、前評判を大きく覆す好成績をあげることができました。
私は怪我で出場すらできませんでしたが、皆の努力とチームの結束が身を結んだ結果でした。 一度や二度の敗戦くらいで諦めることなく、不撓不屈の精神で取り組む姿勢の大切さ。何よりチームが結束することの強さを学びました。
4年間のラグビー部生活を終え、卒業直前の納会(送別会)では、最後に卒業生が一言ずつ挨拶し、感謝の言葉を述べます。「自分は努力したつもりだったけど、レギュラーにはなれなかった。努力しても叶わないこともあるんだな」という気持ちで同級生の挨拶をしみじみ聞きはじめました。
私の同級生はみんな「努力型」で、スタープレーヤーは少なく、社会人のトップリーグで活躍した1人を除いて、全員が雑草みたいなタイプでした。入学当初は、レギュラーになると期待された選手も少なかったのですが、最後は私を除く全員がスタメンに入ったのです。
自分は十分努力をしてきたつもりだったけど、それは自己満足であって、自分以上に何倍も努力してきた同級生がいたことに、みんなの挨拶を聞きながら、はたと気がつきました。正直、とても悔しかったことを覚えています。
私には、何か飛び抜けた輝かしい才能があるわけではありません。しかし、努力は誰にでもできる。努力は無限大なんだと。私の同級生がそうだったように、努力の積み重ねで、自分の思い描いた道を切り拓いてやろう、努力で乗り越えられない壁はないということを自分も証明してやろうと決意した日でした。
怪我ばかりで選手としては大成しなかった私ですが、素晴らしい指導者や多くの心熱いチームメイトとの出会い、そして嫌々引き受けた主務という役目によって、大切なことを学びました。人生は、何が幸いするかわかりません。