マンガでバズるとは思ってなかった
――マンガやイラストを描くうえで気にかけていることはありますか?
遊ハち 普段からネタになりそうなことは探してます。ふとしたときに“これ、話にできそう”と思ったら、メモを取ったり描いたりというのは常にやってますね。公園で散歩をしているときとか、買い物の最中に思いついたり。ちなみに、スピスの第1話も夜中に“傘立ての上に吊るそう”って思いついて、すぐに絵を描き始めました。
――アイデアをメモしておくわけではなく、すぐに描き始めるんですか?
遊ハち そうなんです。描き始めたら集中して、名前を呼ばれても反応しないくらい没頭しちゃいますね。LINEスタンプのイラストはそんな感じで描いて、あとで清書して仕上げてます。
――制作環境はどんな感じなのでしょうか?
遊ハち どこでも集中できるので、100円ショップに売ってるようなルーズリーフに線画を描いて、iPadやスマホに写真で取り込んで仕上げるという感じです。その3つで全て描いてるので、それさえカバンに入れてあればどこでも描けますね。基本的に、いつでもどこでも制作できるっていう環境にしてます。
――絵を仕事にしようと思ったキッカケはありましたか?
遊ハち そもそも絵を仕事にしようという気はありませんでした。大学時代はプロダクトデザインをやったり、立体物を作ったりするのが好きで、企業デザイナーを志望していたんです。絵は趣味として続けていきたいなという気持ちで描いてました。ですが、就職のタイミングでコロナになってしまって、ほとんどの企業が募集を取りやめにしてしまったんです。
なので、しばらく就活しつつ、バイトしつつ、趣味で少し絵を描いてSNSに投稿したりしながら、様子を見ていこうと思ってました。そしたら、趣味で描いていた絵に反応をいただけるようになってきて、そのまま仕事になったって感じです。なりゆきでこの道に入りましたね(笑)。マンガでこんなに反応をいただけて、今のようになるとは思ってもいませんでした。
――スピスのマンガを読んだときは衝撃でした!
遊ハち ありがとうございます。スピスでたくさんの反応をいただけて、“こういう感じで描けば、たくさんの人に見てもらえるのかな”と思って、はちさんの1話目は高校生とはちさんが遭遇するっていう話にしました。お兄さんとスピスが遭遇したっていうのに寄せた内容になってます。その方向で進めていった結果、両方とも反応をいただけて、ファンの方からの「続けてほしい」って声もあって描き続けています。
何気なく聞こえてきた会話がマンガのネタになる
――マンガを描き始めたことで、遊ハちさん自身が変わったことってありますか?
遊ハち 普段の生活で、“どんなことがマンガのネタになるかな”って考えるようになったことですかね。友達との何気ない会話でも“今のはオチがついたからマンガにできそう”とか考えるようになりました。人通りの多いところを歩いていて、何気なく聞こえてきた会話とかが意外と面白かったりするので、そういうことを拾ってマンガにしていきたいなと思ってます。
――子どもの頃はどんな感じでしたか?
遊ハち ギャグマンガとかはよく読んでましたね。『クレヨンしんちゃん』がすごい好きで。あとは『ギャグマンガ日和』『浦安鉄筋家族』『ボボボーボ・ボーボボ』とかも読んでました。不条理な感じが好きですね。
――遊ハちさんのマンガを読んで、ツッコミがうまい! と感じたんですが、それはそういったギャグマンガからの影響なんですね。
遊ハち うれしいです。うまくツッコミができるとうれしくなっちゃいますね。
――最後に、今後やってみたいことなどはありますでしょうか?
遊ハち これからもたくさんの人に見てもらえるように、はちさんとスピスを頑張って描き続けていきたいです。
――とても謙虚な目標ですね。映像化とかはどうですか?
遊ハち 続けた先でアニメになったりしたらすごくうれしいですね!
(取材:山崎淳)