憧れの小野伸二選手とフットサル
そして、2018年末、都内のフットサル場で僕の人生史上に残る事件が。
フットサルをしていたら、コートの横に入ってきて壁にもたれながらシューズを履く坊主頭の男性。僕はその男性を見た瞬間、オフザボールの動きの最中にも関わらず、尻餅をついて倒れました。
「うわぁー!! 小野伸二だぁー!!」
お笑い好きにしか伝わらない例えですが、完全にサスペンダーズの古川です。
唐突に自分がプレーしているコートに小野伸二選手が入ってきたのです。
対戦相手ながら惚れ惚れするタッチ。楽しそうなプレー。あんなにも憧れた選手が目の前にいる。こんなに幸せな時間はなかったです。
理想を言えば同じチームでパスを受けてみたかったけど。
僕は記念に一度だけ、ボールを奪いに行ってみました。
「守備の基本はトラップ際を狙うこと」
なぜなら、飛んできたボールをトラップした瞬間だけは、必ず少しは足からボールが離れるから。
僕は小野伸二選手に速いボールが入った瞬間に思いっきり距離を詰めてみました。
すると、小野伸二選手の足に触れたボールはそのまま吸い付き、こっちが「離れない、だと!」と重心を崩した瞬間、ボールは僕の重心の逆側に離れ、僕はあえなく剥がされたのです。
その後、1~2度同じように、こっちのバランスが崩れるまで足にボールが吸い付いきました。そして逆に目の前に立つだけにしたら、シンプル極上トラップ。
そんな選手、人生で初めて対面しました。
「トラップ際が、ない、とかあるんだ……」
それはもう衝撃であり、翻弄されているのに感激してしまいました。
そんな小野伸二選手がメディアで「自分より上手い選手」としてあげた選手が2人います。
もっといるのかもしれませんが、僕がいろんな記事を読んできた限り「自分より」という枕詞がついたのは2人だけ。
1人は元フランス代表のジダン。フェイエノールト時代にレアル・マドリードと対戦したときに衝撃を受けたそうです。
確かに当時の映像を見ると、他のスター選手と比べても1人だけ動きが違う。2000年代ではロナウジーニョと並んで圧倒的に上手い選手だと思います。
もしかしたら小野選手が対戦した選手のなかで、怪我のないキャリアを送っていたとしても敵わなかった唯一の10番かもしれません。
そしてもう1人。
「同い年のときの俺より上手いね」
そう小野伸二選手が語ったのが、当時18歳の久保建英選手でした。
キャリアのピークだった頃の小野選手よりすごい選手が日本に現れた。そして今も大怪我もなく世界のトップに駆け上がっている。
僕たち、小野伸二に夢を見た30~40代は、これからこの22歳の背中に、憧れのファンタジスタを重ねて日本代表を応援していくのかもしれません。