高校の同級生がヴァンフォーレ甲府へ加入

ヴァンフォーレ甲府というクラブを応援しに行ったのは、大学を卒業して1年半後の2014年だったと記憶しています。

きっかけは、高校の同級生である畑尾大翔(とはいえ、大翔はFC東京U-18所属なのでチームメートではない)が、早稲田大学を経て入団したからでした。

なぜ、同級生である大翔がヴァンフォーレ甲府に入団したのが、僕が大学を卒業して1年半後かというと、彼は大学4年生のときに「慢性肺血栓塞栓症」という病気を患い、大学在学中から2年近くにわたり闘病していたためでした。

FC東京の下部組織、そして早稲田大でも1年生から出場していたエリートのため、もともと注目されている存在ではありました。しかし、大学4年の半ばから2年近くも公式戦でプレーしていませんでした。そんな大翔を獲得してくれた甲府に対して、僕は当事者ではないので感謝というと少し違いますが、率直に「いいんすか!? マジうれしいっす!!!」という感じの思いがありました。

▲畑尾大翔選手のユニフォームを着て記念撮影(本人提供)

大翔が在籍した当時、J1だった甲府はとにかく守備のチーム。

5バックの前にさらに4枚並べて、相手の攻撃を耐えて耐えて少ないチャンスを前線のブラジル人ストライカーと盛田剛平選手の高さを活かして決める、というような感じで、J1にいてもリーグ戦の順位でACLを狙うのは現実的ではない……と言わざるを得ないチームでした。

移籍情報を追うだけでわかるくらい、予算規模の少ない地方クラブの粘り強く残留を目指す戦いです。

特にある日の試合を見に行ったときに、(ブラジル人選手が移籍したあとだったと思う)前線が日本人3人で「いや、このメンツでロングカウンター完結は無理があるだろう……」と正直思っていました。

でも、そのうちの1人、最前線に位置していた初見の大卒ルーキーが、1人でハーフウェーラインから相手ペナルティエリアぐらいまで独走していて、度肝を抜かれたのを覚えています。それも1試合に二度三度も。

僕がアンコウなら板前が小躍りするくらい多めに度肝を抜かれました。

その彼が、のちに世界の度肝を抜きまくることになる伊東純也選手です。3人どころか1人でカウンターしていました。

もちろん周りで阿部拓馬選手が攻守に貢献したり、2015年にはもう広島に移籍していましたが、守備的な選手に関しては伊東純也選手と同じく神奈川大学から発掘してきた佐々木翔選手がいました。ボランチには、当時関東2部の日本体育大学から獲得した稲垣祥選手がいたりと、スカウトが優秀でお馴染みの甲府らしい好選手が揃っていました。(伊東純也選手はスカウトが佐々木翔選手を見に行って見つけたらしいです)

そんな有望な大卒選手が多いなかでも、ひと際いい選手がいるな、と思っていました。畑尾大翔の隣、3バックの真ん中を務める当時34歳のベテラン・山本英臣選手です。

どんなに攻められても最後の最後、水際で弾き返す山本選手の姿は、僕の心に強く焼きつきました。