お互いをリスペクトした上で意見を率直に言い合う
新保 ただ、今の時代は、SNSなどがまさにそうなんですが、人と違うことをやろうとすると叩かれる風潮がありますよね。日本にはそういう土壌があって、なるべく人と同じことをやる、なるべく安全・安心なほうにいこうとする中で、あえて、インバウンドを含めてですけれども、これだけひとつひとつにコンセプトを求めてつくっていくというのは、なかなか困難だと思います。
加藤 そうですね、実際に手間も掛かりますし、時間も掛かりますし、お金も掛かります。しかしながら、ライフスタイルがどんどん変わっていく中で、やはりオリジナリティのあるものが支持される時代ですし、食事もやはり手間をかけた美味しいものだけが最後は残るのだろうと私は思っています。
新保 もう一つ、まさにお聞きしたかったのが料理のことなのですが、料理人の確保、育成もまた大変なことではないかと思うのです。“職人気質”という言葉も昔からあります。
加藤 まず、グループ内には「料理人会」というのがありまして、コミュニケーションを存分に取り合える環境をつくっています。また、グループ内にも2人、料理人の取締役もいて、積極的に意見をもらっています。やはり一緒の目線に立つことが大切なものですから。
新保 それで喧嘩になってしまうというケースはないのでしょうか。
加藤 私は料理人ではありませんが、食べるプロです。ですから、どんなに腕がいいシェフであっても指摘しあいますが、お互いに理解をして、お互いにリスペクトをしています。また、料理人たちには「これからの時代はどういう料理人が通用するのか?」ということもよく問います。これは料理の腕だけではなく、「総合的なマネジメントのノウハウも身に付けたほうが生き残る」ということを伝えたいからです。そういったことも理解をしてもらいながら、カジュアルゾーンの「つるとんたん」から、スモールラグジュアリーの和食懐石までやれるようになってほしいのです。また、“職人気質”と新保さんがおっしゃいましたが、たしかに料理人は特性的には、和食の割烹をずっとやっている人たちはカジュアルゾーンをやりたくないという人が多いのです。私たちのところでは、私がそれを変革していきました。旧来の料理人の世界はセクショナリズム(縦割り組織)です。実際、大型のホテルになりますと、料理長と総支配人の間のコミュニケーション、あるいは和食と洋食の料理人の間のコミュニケーションが不足しがちです。
新保 セクショナリズムは、どんな組織の発展をも阻害しがちです。次回はぜひセクショナリズムの変革と、組織の発展についてお聞かせください。
『フリーアナウンサー・新保友映の「あの経営者に会いたい!」』は次回4/23(木)更新予定です、お楽しみに。
[聞き手]
新保友映(しんぼ ともえ)
フリーアナウンサー。山口県岩国市出身。青山学院大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。『ニッポン放送ショウアップナイター』『板東英二のバンバンストライク』などでプロ野球の現場取材などを長く担当。その他『オールナイトニッポンGOLD』『高嶋ひでたけのあさラジ!』『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』『三宅裕司サンデーハッピーパラダイス』などニッポン放送の看板番組を務める。2018年6月よりフリーアナウンサーとして活動を開始。プロ野球の取材・コラム執筆、経営者のインタビュー、イベントの司会など、幅広く活躍している。
所属:B-creative agency (http://bca-inc.jp/)
出演:『大石久和のラジオ国土学入門』(ニッポン放送) https://www.1242.com/kokudogaku/