サポーターにとって選手はうちの子
僕が最も好きなテレビCMに『「ここから」2023年2月17日、Jリーグ開幕』というものがあります。
今、これを書くにあたり、改めて見返して目黒線で泣いています。何度見ても泣く……。内容に関しては今もJリーグ公式に上がっているので、見てください。
〇「ここから」2023年2月17日、Jリーグ開幕
また、サッカー漫画『GIANT KILLING』(講談社)で、僕が号泣してしまったシーンのひとつに、アジアカップの準決勝、後半途中で夏木陽太郎がピッチサイドに立ったシーンがあります。
主人公のチーム、ETU(East Tokyo United)のストライカーとして活躍し、代表に追加招集された夏木ですが、準決勝までメンバーで唯一、出場機会が与えられません。そんななか、準決勝は劣勢の展開でさらにCFが怪我。「どうする監督!?」となった場面で、監督が呼んだのが夏木でした。
それを見てテレビの前で応援するチームメートやサポーターが「マジかよ!!」と驚きと興奮をしている場面がたまらなく好きなのです。思い出す現実の景色が多すぎて。
僕は実際にW杯を現地で見ているのですが、おそらく大会中に出番が多くなさそうな国内組の選手のユニフォームを、その選手の所属チームのサポーターであろう人たちが身にまとう姿を何度も見てきました。
カタールW杯では、相馬勇紀選手のユニフォームを着たサポーターが、コスタリカ戦を前に国家斉唱をする相馬選手を見て涙ぐむ姿を見て、こっちまで涙腺がギリギリになりました。
サポーターにとって、選手はうちの子なんです。
先日の日本代表のトルコ戦でゴールを決めた伊藤敦樹だって、浦和サポーターの僕にとってはうちの子。もしかしたらW杯と同じぐらい、それくらい声をあげて歓喜しました。
そして今、「うちの子の活躍を後押ししたい!」と、最も思っているのはヴァンフォーレ甲府サポーターだと思います。
今日は甲府とACLと、それを手助けしたい僕の話。
とりあえず僕と甲府の関係性は先週のコラムを読んでいただけたら。
初のACLもホームスタジアムが使えない?
と、いうわけでJ2ながらも天皇杯の神がかった快進撃で、ACL出場権を勝ち取ったヴァンフォーレ甲府。
しかし、甲府の目の前に立ち塞がったのが「スタジアム問題」です。
甲府のホームスタジアムであるJITリサイクルインク スタジアム(通称:小瀬)は、Jリーグの規定は満たしているものの、ACLの規定を満たしておらず、記念すべきアジア初挑戦にも関わらず、ホームスタジアムを使うことができないのです。
そして、この問題によって2つの困難が甲府の前に立ちはだかります。まずひとつは、ホームスタジアムを使えないことで東京の国立競技場を借りなければいけないことによる金銭的な問題です。
ただでさえ「ACLは準決勝まで行かないと赤字」と言われているほど、ロマンと引き換えに負担が大きい大会です。それなのに、甲府は国立競技場代という出費がさらにかさむのです。
そして、もうひとつの問題がACLは平日開催なので、山梨県内で働いている人が仕事を終えてからスタジアムを訪れることが困難ということです。
天皇杯ではゴール裏を赤と青で染めあげた甲府ですが、国立競技場という日本最大級のスタジアムを平日に満員にするのは正直、不可能と言えるでしょう。というか、どのチームでも無理だと思います。
そこで、甲府は史上初の試みをします。
「Jリーグ代表としてアジアに挑む甲府を応援してほしい」
と、他のチームに呼びかけたのです。
僕はとても素晴らしいことだと思いました。対Jチームじゃなくてアジアの敵に挑むんですから。
渋谷駅構内には他チームのサポーターの目にも触れるように、大々的に甲府のACL挑戦の広告が掲示され、その前で写真を撮るいろいろな人の姿を見ることができ、幸せな気持ちになりました。