“自分にもできる”と思ってほしい
――土橋さんが誰かに言われた印象に残っている言葉などはありますか?
土橋 父親の言葉で、佐賀の方言を交えてなんですが「苦労したしころ、人は成長すると」。これは「苦労したぶん、人は成長する」って意味ですね。よく家でお酒を飲んでいるときに僕に言っていましたが、今思えば、会社の経営とかが大変だった時期で。父親が自分自身に言い聞かせていたようにも思えた言葉です。
僕はもうすぐ37歳になるんですけど、その頃の両親と自分を比べると、全然苦労してないなって思うんですよ。だから、落ち込んだりすることがあったとしても、自分は大きな借金を背負ってるわけでもないですし、余計なしがらみもなく自分の意思で仕事を選ぶことができているので。なんてことない言葉なんですけど、励みになる言葉です。
――今の仕事での、やりがいを教えてください。
土橋 僕の仕事って、誰かの人生とか世の中にプラスのスパイスを与えられる職業だと思うんです。僕が中学生の頃、柔道家の故・古賀稔彦さんが学校の講演に来てくれて、「オリンピックのメダリストが自分たちのために話してくれてる!」と子どもながらに、すごく感動的でした。
「他人の人生を変える」とか、そんな大きなことは言えないんですけど、人それぞれの人生があるなかで、スパイスになったりとか、プラスの種をまいていくということに、すごくやりがいを感じますね。
――ここ一年くらいで印象的だったことって何かありますか?
土橋 ありがたいことに、10月26日に電子書籍を出版させていただいたことですね。
――『会社員にしかできない「最高の働き方」』(小社刊)というタイトルには惹かれます。
土橋 中小企業の会社員がこうして本を出すっていうのは、なかなか無いことだと思うんですよ。僕たちって、社会的にはいわゆる「モブキャラ」じゃないですか。でも世の中の大半の方が、そういうポジションにいる。そこにフォーカスを当てた本をお届けできれば、たくさんの方に“自分にもできる”と思ってもらえるかなと。
もう一つは、自分がしている仕事の魅力を伝えられたら、というのも大きいです。大学生の頃は、こういう仕事があるってことも知らなかったので……。すごく面白い仕事なので、その魅力が伝わればいいなと思って書きました。
――なるほど。文章を書くのは得意だったんですか?
土橋 いや、苦手です(笑)。5科目のなかで国語の成績が一番悪かったですね。大学までは苦手意識が大きかったんですけど……先ほども話しましたが、大学を卒業してから社会人になるタイミングで日記を書きだして、10年以上日課として続けているので、以前ほどは苦手意識はないって感じですね。
――最後になるんですが、土橋さんの今後の目標を教えてください。
土橋 今の時代って、いろんな情報が入ってきちゃうじゃないですか。誰かと比べて、自分はたいしたことがないとか、マイナスに考えやすい環境なので、そこをあまり考えすぎずに、自分の置かれてるポジションで持ってるカードを使ってやっていけば、たとえモブキャラでも人生を楽しくしていけるんじゃないかと思います。
実際にイチ会社員として、僕がいろんなことに挑戦して楽しくできているってことは、他の人たちにも汎用できると思うので、そういった姿勢をこれからも伝えていきたいと思います。この本を通じて、いろんな人とコミュニケーションを重ねていって、自分が持つ理論にさらに磨きをかけていきたいです。まだまだ解像度を高められると思うので!