DFが2人退場したトッテナムが採用した奇策

話は変わりますが、僕は大学まで部活でサッカーをしていましたが、10人で戦ったことはほとんどありません。補欠なので公式戦にほとんど出場していないからです。(練習試合はカードが出ない。怒られたり交代させられるだけ)

そんな僕の数少ない経験で言うと、退場者を出してしまうと、攻撃はボール受けたら相手を1人2人剥がせる選手がいないと基本どうにもなりません。いたとしても、どうにもならないこともあります。

ほんと耐えるだけになるんです。守備に関しては、たとえボール奪取に優れた選手がいたとしても、スペースを埋めて後退することに終始するしかないのです。そして、深い位置で跳ね返しても前に運べず耐えるのみ、です。

一度、大学時代の遠征で、怪我人や就活の面接が続出して11人で1日2試合、合計180分を戦い抜かねばならなくなったことがあった際、補欠の僕にも試合に出るチャンスが巡ってきました。

しかし、その1試合目の開始2分で僕がイエローカードをもらってしまいました。うちのチームは残り178分を10人で戦うのがイヤすぎて、右サイドハーフの僕の周りを堅守で固める布陣を敷いたことがあります。

なんせ2試合目は東京学芸大学(めちゃくちゃ強かった)とでした。絶対イヤでした。

そんな逃げ腰の我々と対極だったのが、翌日のトッテナム(スパーズ)でした。

スパーズは数年前までJリーグの横浜F・マリノスを率いたアンジェ・ポステゴグルー監督が就任。Jリーグでも見せていたハイライン戦術は「観客席から見ても、どこをどう捕まえていいかわからんわ!」という幅とポジションチェンジの魔術と言えるようなフットボールで、対戦相手のチェルシーを翻弄します。

これがJリーグが育てた名将!(たぶん違う)

横浜サポーターも「うちの子すごいだろ!」と鼻が高いことでしょう。(そんな山根陸選手みたいな愛で方では見ていない)

チームの調子の良さを示すかのように開始早々に先制し、その後も押し気味に試合を展開するスパーズですが、32分にセンターバックのロメロが足裏をみせたタックルで一発退場。さらに、そこで与えたPKを決められ同点に。

ここで1人少なくなったスパーズが採った策は、ハイラインでした。

いかつぅ!!!

4-4-1のブロックを敷きながらもドン引きはせず、前から奪いに、勝ちを掴みにいきます。

しかし52分、今度はウドジェが2枚目のイエローカードをもらい退場。これで人数は9人に。このピンチでスパーズが採った策は4-3-1のシステム(一部では0-7-1の表記も)。そしてハイラインでした。

いや、常識とかないんか!!!!

パスの出し手にプレスをかけられないときは、裏にいいボールが蹴られるからラインを下げないといけないと習ったんですが!!!

しかし、サッカー日本代表を率いたトルシエのフラットスリーよろしく、オフサイドにかけながらチェルシーの攻撃をしのぎ、真っ向勝負で勝ちを狙うスパーズ。

オフサイドトラップはリスクが高すぎるので、絶滅した戦術って聞きましたけど……。

こうなると際立つのはスパーズの選手の勇敢さと魂。これこそフットボールという熱すぎる試合!

この先、ネタバレあるから結果知らない人は、もうこのコラム閉じて試合見てくれ。

しかし、オフサイドトラップ崩しの定石である2列目からの飛び出しよりもさらに上、自軍最終ラインから相手の裏まで飛び出したチェルシーのククレジャが決定機を迎えるなど、チェルシーもあらゆるアプローチで裏を突きにいきます。

そしてついに74分、スパーズの裏を鮮やかに取って勝ち越しゴールを決めました。ほとんどの人がジ・エンドと思ったことでしょう。

しかし、失点後も勇敢にハイラインを貫くスパーズは、セットプレーから同点ゴール。

同点ゴール!!!??

9人のチームが追いつくんかい!!!!

と思いきや、これはオフサイドの判定でノーゴール。その後も真っ向からやり合い、試合は1対4で敗れましたが、あまりにも勇敢な闘いにスタジアムは万来の拍手に包まれたのでした。

〇【トッテナム vs チェルシー】試合ハイライト 23/24シーズン プレミアリーグ 第11節

そうか、右サイドすがやの周りの守備を固めた獨協大学の対義語は、スパーズだったのか……。

次回の『カカロニ・すがやの“熱”Football Watch!』は、11月20日(月)更新予定です。お楽しみに!!


プロフィール
 
カカロニ・すがや
1991年3月5日生まれ。O型。東京都出身。2016年、現在の相方である栗谷とカカロニを結成。グレープカンパニー所属のお笑いコンビとして活動中。趣味はサッカー(サッカー歴15年・ブラジル・ロシア・カタールW杯を現地観戦)、深夜ラジオ(元ハガキ職人)。特技はサッカーとくりぃむしちゅー上田さんの例えツッコミを暗記すること。Twitter:@sugayazinho instagram:sugayazinho