東京最強だと思った2007年の成立学園

全国高校サッカー選手権の時期が近づいてきました。

学生時代、各都道府県の大会が進んでいくなかで、なんとなく思っていたことがあります。

「番狂わせは面白いけど、自分らの地域の代表だけは一番強い高校に行ってほしい」

それでこそ、負けた自分の想いが成仏できるのです。

「自分たちを倒した学校に行ってほしい」とか「友達の学校に行ってほしい」とかもありますが、やっぱり自分たちの地域を勝ち抜いた最強校に、全国で強さを示してほしいのです。

そんな僕が、ここ20年の東京高校サッカーで最強だと思っているチームがあるのですが、全国で名を馳せることはありませんでした。

あれは、僕が高校2年のときのインターハイ予選。

僕の高校は、当時から強かった堀越学園に0-3で負けたため、オフ日が設けられることに。僕はチームメイトのアツシを誘い、インターハイ予選を見に行くことにしました。

そこで我々を魅了したのは堀越……ではなく、その次の試合の成立学園でした。

東京の同世代は共感してくれるかな? 他の人はほとんどピンとこないと思います。2007年の成立学園は、それくらい全国的には無名のチームでした。

当時、インターハイ予選のベスト32やベスト16くらいだと、くじ運次第で土のグラウンド、ということもあったのですが、成立はデコボコの土のグラウンドでもボールがつながるつながる。

相手の東海大菅生も、前年の選手権予選で決勝まで来ている強豪校なのですが、面白いように翻弄します。

たまたま隣で見ていた某大学のスカウトが

「オフェンシブハーフの小檜(宏晃)とセンターフォワードの大津(祐樹)はプロに引っかかるだろうな」(小檜さんは怪我もありプロにはならず。でも、のちのち天皇杯で見れたときはうれしかったなぁ。大津選手は現在ジュビロ磐田に所属。オランダなどで活躍し、ロンドン五輪ではスペイン代表からゴールを決めた)

「舞行龍ジェームズ(現アルビレックス新潟)とか、菅野哲也(高卒で湘南ベルマーレへ入団)も、もしかしたらプロに引っかかるかもな」(他にも名前があがった選手がいましたが割愛)

と、いろいろ教えてくれました。

「でも、今日は土のグラウンドだからミスが目立つなぁ」

……ミスが目立つ!? あれで……??

調べると成立学園は、直近の東京一部リーグで堀越に9-1で勝利していたほど強かったのです。

あの堀越に9得点……??

余談ですが、この年の成立学園は帝京、國學院久我山など、東京高体連フルキャストのリーグで、11試合65得点の10勝1分で優勝しました。1試合平均6得点弱です。

しかし、そんな最強の成立学園もインターハイ予選ではベスト16で呆気なく敗退します。

土のグラウンドで開催された堀越戦は、土砂降りでまともにパスがつながるピッチコンディションではなく、泥臭く環境を利用した堀越の前に9-1のリベンジを果たされるのでした。

そして、この結果が最後の夢舞台、高校選手権にも暗雲をもたらします。

順当に全国大会に出ていれば、シード権の関係で当たるはずのなかった帝京と同じブロックに入ったのです。

補足すると東京はA代表、B代表の2校出られるのです。強豪ひしめく千葉からも2校出られたらいいのに……なんて思ってしまいます。

余談ですが、特にこの世代は、関東プリンスリーグ(当時の最高峰)王者が市立船橋で準優勝が流通経済大柏(ともに千葉)。インターハイ王者が市船。高円宮杯(当時はW杯のようなグループリーグから決勝トーナメントだった)優勝は流経。高校選手権優勝は流経という、千葉の学校が全国総なめにした年でした。

余談を重ねますが、相方の栗谷さんは高校1年生のとき、1年同士の試合では神奈川県内無敗だったのですが、千葉遠征で流経の1年チームと試合をして、負けたそうです。しかも、レベルの違いをまざまざと見せつけられる負け方だったらしく、その差に絶望したセンターバックが部活をやめそうになったそうです。

それくらい強かった千葉の2強。しかし、この2チームと対戦してもやりあえたはずの数少ない高校が、成立学園だったんです。(僕は「成立ならやれた」という言質を強豪の選手に取って回ったことがある)