J内定3人をもってしても全国の舞台は遠い…
そんな成立が、都大会準々決勝で足立学園と対戦しました。
足立学園はうちの高校と仲がよくて、頻繁に試合をしていたので知っている選手もたくさんおり、無名ではありましたが相当強かったです。(翌年、新人戦で実践学園を枠内シュート0に抑えて勝つという黄金期を迎えます。うちの高校も0-5でボコられました)
足立学園のセンターバックは、地区では最強レベルにフィジカルが強いのですが、その選手がヘディングしようとするボールを、ことごとく胸トラップしてドリブルを開始する大津選手。
皆さんにはそんなイメージないかもしれませんが、高校年代において大津選手のバネは異次元でした。
秋晴れの芝生のグラウンドでプレーする成立は、インハイ予選の比ではありません。最後は小檜さんがヒールリフトで相手をかわしてアシストするなど、5-0の圧勝。
しかし、当時のサッカー雑誌の『注目のU-18世代50選』みたいな特集には、大津選手も小檜選手も載ってない程度に無名でした。
そういうのを見るたび、「全国にはもっとすごい選手が何十人もいるのかよ…!」と、疑い半分、驚嘆半分でした。
そして都大会準決勝。
相手は帝京高校。この年のインターハイ全国ベスト8、Jリーグ入り内定2人の東京の横綱です。
両校合わせてJ内定5人がピッチ上で激突しました。
とんでもないレベルですが、東京予選は決勝しかテレビ中継していないので、この一戦を見ることができた人は、会場で試合を見た人くらいでしょう。
そんなハイレベルな戦い必至の一戦、この大一番に成立はベストでは臨めませんでした。直前の練習試合で、Jリーガーになってないとはいえ、一番うまかった小檜さんが骨折し、欠場。
試合は先制点を許し、その直後の前半14分、舞行龍ジェームズ選手が不運にも退場します。帝京相手にこれは厳しすぎる……。
しかし、成立がすごいのはここからでした。1人少ないながらも五分五分の試合を続け、そして同点に追いつくんです!!
その後は徐々に押し込まれますが、苦しくなっても大津選手がハイボールを1人でキープして、何度も強引にシュートまでもっていきます。
結局、延長を含め90分を10人で戦い抜いきましたが、最後はPK戦の末に敗れてしまい、東京最強のチームは、一度も全国の舞台を踏むことなく人知れず散っていったのです。
ちなみに、この半年後、無名のルーキーとして柏レイソルに入団した大津選手は、開幕早々から高速ドリブラーとしてJ1の舞台で躍動します。
なんだ、やっぱり見つかってないだけでスゴかったんじゃん。
だからこそ、あの年の成立学園というチームも多くの人に見つかってほしかったなぁ……と、寂しく思ったのでした。
今年もサッカーに情熱をそそぐ高校生たちの熱い戦いが見られるのが楽しみです!!