自分はプロレスラーになる運命だったとしか思えない
その一方で、一部の格闘技ファンからSNSなどでは「MMAから逃げるのか」「通用しなくなってプロレスに行くのか」など、否定的な声も散見された。
「RIZINに来てから直近の戦績がそんなに良くなかったから、そう言われるのかもしれないですけど。僕のストーリーをしっかりと追っている人は、そんなこと言ってないと思うんですよ。それを言わせてしまっているのは、まだ僕のプロレスラーとしての腕不足。『憂流迦は本当にプロレスがやりたくてやってるんだ』と思わせることができてないからだと思ってます。
MMAファイターとしての限界なんて全然感じてないですから。俺、MMA強いっすよ。そこはナメちゃいけない(笑)。今、練習でMMAのスパーリングやっても全然強いんで、MMAから逃げる理由もないし、もともと40歳までは続けるつもりだった。
でも、そういうことじゃなくて、僕は『これがやりたい』という自分の衝動に従って生きているので。今は“何よりもプロレスがやりたい”という気持ちなのは紛れもない事実。34歳の自分がとにかくワクワクすることなので、プロレスに真剣に取り組んでるんです。やっぱり人生、自分が本当にやりたいことをやらなきゃダメってことですよ」
佐々木憂流迦がそこまで「プロレスがやりたい!」と思ったきっかけ、それは今年の元日、NOAHの日本武道館大会で行われたグレート・ムタvsシンスケ・ナカムラ(中邑真輔)を生で「観てしまった」からだった。
「共通の知人を通じてご縁をつないでもらったNOAHの関係者に誘っていただき、日本武道館に行かせていたたいだんですけど。ムタと真輔さんの試合を観て、感動で打ちのめされましたね。
僕は絵画や映像作品、お芝居なども含めた芸術、アートが好きでたくさん見るんですけど、あそこまで“食らった”ことはなかったんですよ。僕自身、プロレスも格闘技もすべて『ファイトアート』だと思っていて、総合格闘技をやりながらも常にアートとしての作品を目指してきたんですけど、あの試合は『ファイトアートの作品として、こんなにすごいものを作ることができるんだ』って感動して、そこで腹が決まったんです」
もともと佐々木は少年時代からプロレスファンで、しかも武藤敬司、グレート・ムタのファン。中邑真輔は和術慧舟會の先輩にあたることもあり、個人的な親交もある憧れの対象だった。そんな二人が作り出す『ファイトアート』の作品を目の当たりにしたことで、佐々木憂流迦の運命は変わり、その約1年後となる、来年1月2日のNOAH有明アリーナ大会でプロレスラーとして正式デビューを果たす。
「“食らった”1年後に自分がプロレスラーとしてデビューするとは思わなかった。しかも会場は、自分がRIZINで最後に試合をした有明アリーナ。最初から運命が決められていたかのようにストーリーが出来上がってて、自分でも不思議ですよ。こんなことが起こるんだって。それが起こるのがプロレスなんですかね。自分はプロレスラーになる運命だったとしか思えないですよ(笑)。
これからどんなことが起こるんだろうかって、めっちゃ楽しみです。プロレスラー・佐々木憂流迦は、どんなレスラーになるんだろうって。まだ見ぬ自分に出会える可能性があると思うんですよ。真輔さんだって最初は格闘技路線で、クネクネし始めたときは『何やってるんだ!?』って思われたんじゃないかと思いますけど(笑)。
それが今や唯一無二の個性として世界で認められてますからね。どんな自分を解放して、どんな作品を作り上げることができるのか。これからの旅が自分自身でも本当に楽しみなんで、ファンの人たちもそれを一緒に楽しんでもらえたらと思いますね」
2024年1月2日の有明アリーナで行われる佐々木憂流迦のデビュー戦の相手は、元GHCヘビー級チャンピオンであるNOAHの重鎮、杉浦貴に決定。この超実力者相手に、佐々木憂流迦はどんな試合、そしてどんな自分を見せるのか。“摩天楼の天狗”と呼ばれた男の処女航海に注目だ!
〇ABEMA PRESENTS NOAH "THE NEW YEAR" 2024[プロレスリング・ノア公式サイト]