読まなくてもいいレシピ本を作りたかった

――世の中にはたくさんのレシピ本が出版されていますが、昨年に発売されたレシピ本『あすけん公式 結局、これしか作らない! 短いレシピ-国内最大級の食事管理アプリ-』(ワニブックス刊)について、ほかのレシピ本にはない強みについて聞かせください。

未来 短いレシピですので、誰でも作りやすいのが一番の強みだと思います。忙しいユーザーの皆さんにも手に取ってほしいという考えから、“読まなくてもいいレシピ本”のような、逆説的な面白さがあるといいかなと思って作りました。

あすけんのユーザーさんには、ダイエットをされている方も多いのですが、ダイエット中に何を食べていいかわからず、一つの料理をずっと食べ続ける方が多くいらっしゃるんです。痩せることと引き換えに、食べる楽しみを捨ててしまう方が多くいらっしゃることが悲しくて……。

でも、皆さんお忙しいですし、自炊が大変なときもありますよね。本当は食事を楽しみたいけれど、自分で考えて作る余裕と時間がないから、同じものを食べて済ませてしまおう、となる場合もあると思うんです。でも、いつも同じものを食べていると摂れる栄養が偏ってしまうので、栄養面から考えてもあまりおすすめではありません。

そんな方々に、もっといろんなものを食べてほしい、バリエーション豊かな食事でダイエットを楽しんでほしい! という思いを本に込めています。「食べる楽しみを捨てなくても、痩せることってできるんだよ」と伝えていきたいです。

――ありがとうございます。寒い冬におすすめのレシピはありますか?

未来 ひとつは『身も心も温まる鶏さつま煮定食』ですね。冬は根菜がおいしい時期でもありますし、温かい料理で体の中から温まるレシピがいいかなと思います。

あと、副菜が切り干し大根と納豆というのもポイントです。時期的にインフルエンザも流行っていますし、腸内環境をよくすることが大事。切り干し大根と納豆の組み合わせは特におすすめです。

▲『身も心も温まる鶏さつま煮定食』

もうひとつは『鮭の味噌炒め定食』です。冬の野菜である白菜や、冬の時期に安く買えるホウレン草を使っています。鮭もおいしい時期ですし、これも冬におすすめのレシピです。

▲『鮭の味噌炒め定食』

自分の食事に興味をもつことで病気を防ぐ

――30歳を過ぎると健康診断の結果が気になり始めますが、それくらいの年齢の方々は食生活でどういった点に気をつけるべきでしょうか。

未来 30代くらいの方だと、考えて食べるよりも、お腹いっぱいになることとか、おいしいものを食べたい気持ちが大きいと思うんです。もし今、何も考えずに食べているのだとしたら、まずは「自分の食事が自分にとって良いのかどうか?」ということに興味をもっていただくのがいいかなと思います。

あすけんは食事を入力すると、どのくらいカロリーを摂取しているのかとか、どんな栄養素が取れているのかを可視化できます。そういう機会って普段はあまりないですよね。なので、じつは「摂取エネルギーが多すぎた」「たんぱく質が不足していた」など、何か要因になるような食習慣があるかもしれないですが、知る機会がないまま気がついたら健康診断で数値が悪くなっていた……そんな方が多くいらっしゃるんですね。

その前に自分で気づくキッカケがあると、今まではわからなかった自分の食べ癖や食事の偏りなどを変えようと行動できると思うんです。自分が食べているものが自分の体を作っているという意識をもって、自分の食事に興味をもっていただくのが第一歩かなと思っています。

もし、健康診断で数値があまりよくなかった場合は、例えば、飲み会のあとは翌日の食事に気をつけるとか、飲み会の前日に気をつけるとか、少しずつ心がけてもらうのがいいと思います。

毎日、ストイックに食事を制限するのは誰にとっても難しいことだと思います。お腹いっぱい食事を楽しんだ次の日は、夜ご飯を少なめにしてみようかな、と意識するだけでも未来は違ってくるはずです。食事って毎日のことなので、ちょっとした心がけの積み重ねが大事なんですよ。

――食べ過ぎた日は翌日の食事に気をつけるとか、お酒を飲んだ翌日に気をつけるとか、そういったことを習慣づけるためのコツを教えてください。

未来 習慣化するには、あまり高いハードルを作らないことだと思います。痩せたい人によくあるのが、食べる量を必要以上に抑えてしまうことです。痩せるための習慣自体は、食事だけではなくて、例えば「1日に何分歩く」という行動とかでもいいんですよ。自分で毎日できそうな小さいハードルを用意して、それを日々越えていくことによって習慣化されていくものじゃないかと思います。

まずは何かを記録することからやってみる、とかでもいいと思います。痩せたくても、体重って一定期間がないと減らないし、成果が見えづらいじゃないですか。なので、できそうなことからチャレンジして、それができたら次は何しようか、みたいにやっていくのが、習慣化にはいいんじゃないでしょうか。その選択肢に、あすけんを入れてもらえたらうれしいです。

――未来さんご自身は、どのような食生活なのでしょうか。好きなものとか、気をつけていることとかありますか?

未来 特別なことはしていないのですが、野菜の量には気をつけています。意識しないと、気づいたら「あれ? なんか最近、野菜食べてないな」と思うことがよくあるんです。

そういう時は、それこそ、ピーマンをレンチンして塩昆布で和えたりとか、『短いレシピ』でご紹介しているような簡単な副菜を加えることを意識して実践しています。
『短いレシピ』は簡単な野菜の副菜や魚のレシピもたくさん載っているので、ぜひつくった感想を聞かせていただけたらと思います。