途切れることなく戦い続けるJ2リーグ

時代とともにJ2のレギュレーションは細かな変化を繰り返してきました。発足当初は先述したとおり10チームで行われていましたが、僕が初めてJ2でプレーした2001年はチーム数が増え、12チームが総当たり4回戦で戦う44試合のシーズンでした。

当時の記憶はというと、1シーズンで4回戦うので対戦してから次の対戦までの間隔がとても短かったことを強く覚えています。短ければ1ヵ月半くらいで再戦するわけで、選手の特徴やチーム戦術などをお互いに掴んでいるから、とても戦いにくかったです。連勝できれば『お得意様』になるし、なかなか勝てなければ苦手意識を持ってしまう。昔のJ2ならではの現象と言えるかもしれないです。

2012年からは、J1昇格プレーオフ、2004年からは、J1チームとの入れ替え戦、以降J1昇格プレーオフやJ1参入プレーオフというスリリングなシステムが導入されました。ポストシーズンの戦いにはサッカーの面白さ・怖さなど、J2の魅力すべてが詰まっているといっても過言ではありません。

J2のリーグ戦は基本的に毎週土日のどちらかに試合が組まれ、2月下旬の開幕から11月下旬まで途切れることなく戦い続けます。J1は日本代表が活動するインターナショナルマッチウィークに小休止を挟むことがほとんど。でもJ2はそんなことお構いなしに試合がやってきて、世界中が注目しているW杯開催期間中ですら継続的にリーグ戦を実施するシーズンもあります。

毎週土日どちらかに試合が行われる。 イメージ:PIXTA

リーグ戦が週に1回行われる場合、試合も練習もないオフは週1回のチームが多いはずです。2連休を与えられるのは、チーム状態が良い時のご褒美か、反対に苦戦している時のリフレッシュである場合が多いです。通常時は、オフが1ヵ月で4日未満になるチームもあるので、会社としてはちょっとブラック企業かもしれないですね(苦笑)。

未知の魅力を秘めているJ2リーグ

J2は1999年の発足から、2019年で21年目を迎えています。その間にプレーするカテゴリーを選択する選手側の心理も大きく変わってきたように感じます。端的に言うと、J2は『育成』の二文字が切っても切り離せないテーマになってきていて、J1や海外移籍との関連性も見逃せない要素になってきました。

高卒や大卒でいきなりJ1の世界へ飛び込むのではなく、試合出場の可能性を少しでも高めるためにJ2を選ぶのもアリだと思います。ステータスよりも現実的な選択を優先し、そこでの活躍をきっかけにステップアップしていければ、それも立派な成功と言えます。

J2は『育成』と切り離せないテーマ    イメージ:PIXTA

最近はJ2でのパフォーマンスが評価されて海外移籍につながるケースが驚くほど多いです。J2から海を渡る選手もいる時代だし、J1へステップアップしてからの場合でも長く在籍せずに欧州へチャレンジしていくケースが目立つようになりました。

欧州クラブの日本人への評価は時代とともに移り変わり、現在は若い選手の将来性を見込んで獲得することが多いです。その評価基準は必ずしも日本代表やJ1でのパフォーマンスではなく、J2でも突出した何かを見せていれば十分にチャンスがあります。

J2を取り巻く環境は目まぐるしく変わり、今後はさらに重要性が増していくでしょう。チーム数が増えたことで、編成を行う際の判断基準もそれぞれのカラーが出るようになってきました。裏返すと、選手がチームを選ぶ時にさまざまな可能性を追求できるという良さがあるということです。

可能性という点で、J2は未知の魅力を秘めているリーグなのです。

横浜FCで活躍する松井大輔選手 写真:矢野寿明