ライブ当日に雨が降ったら謝ります

――屋外でのライブとなると、雨が降ってきたときのことも想定しないといけないですよね

文田 いや、それがみんなポジティブなのか、スタッフの誰も雨が降ってきたときのことを言ってこないんですよね(笑)。これだけ会議して、企画や演出についてもたくさん案を出してくれてるのに。

根建 なんなら、雪の可能性もありますからね。

文田 そうそう。スタッフは「2月ってあんまり雨降らないですよね」と言ってくるんですけど、そんなあるある、聞いたことねえけどな!って。

――あはははは!

根建 雨が降ったら「すみません!」って謝るしかない。

――晴れることを祈りたいと思います(笑)。野音では、これまでのライブとは違う仕掛けを用意する予定なのでしょうか?

文田 野音に来てくれるって、お客さんにとっても特別じゃないですか。だから、来て良かったなと思ってもらえる演出を用意したいと思っています。テーマパークみたいに、お客さんも参加している感じを味わってもらえるよう、いろいろアイデアを出しているところです!

――単独ライブオリジナルのグッズもあるのでしょうか?

根建 はい! まずは寒さをしのぐためのグッズ。

文田 ブランケットとかね。

根建 会場ですぐ使えます。本当は豚汁を配ろうと思ったんですけど、時間が足りなくてキッチンカーを呼べませんでした。グッズを買えば、防寒対策はバッチリです。

▲「豚汁のキッチンカーを出したかった」と悔しがる

――ちなみに、今回のライブは配信をする予定はありますか?

文田 今回は、配信しないスタイルでいこうと思っています。今までと違って、来た人だけが楽しめるようなステージにするつもりです。

――当日に来た人しか体験できないんですね。あとあとDVDにするつもりもないんですか?

文田 記録用に映像は取りますが、DVDも作る予定はありません。だって、これまでDVDを出したことがない僕らみたいな年齢の人が、いまさらDVDを出したら“昔から出したかったんだろうな……”って思われますよね? それはちょっと恥ずかしい(笑)。

「住みます芸人」で変化したお笑いへの気持ち

――囲碁将棋は2024年で結成20周年を迎えます。これまでの活動のなかで、印象に残っている出来事はありますか?

文田 僕は2011年から始まった「あなたの街に“住みます”プロジェクト」で“住みます芸人”をやったときですね。芸人がそれぞれの地域で暮らしながら活動するプロジェクトで、僕たちは地元の神奈川に住んだんです。じつは、住みます芸人を始めるまでは、場合によってはネタなんてウケなくてもいいやと思ってたんです。

たとえば、営業とかでネタをする場合、劇場とかとは違って僕ら目当てで来ているお客さんじゃないから、笑ってくれなくても仕方ないと思ってました。要は、尖っていたんです。

でも、住みます芸人になってから、自分の考えが変わったんですよね。大学から出たばかりの若いマネージャーさんが、必死になって僕らのために神奈川の仕事を取りに行ってくれる。その姿を見てたら、ウケなくてもいいってスタンスではダメだと気づきました。“これは仕事なんだ”って自覚が芽生えたんです。そこからは、掴みを意識した自己紹介などを試して、僕たちを初めて見る人でも楽しめる工夫をするようになりました。

――囲碁将棋を昔から知っている人にとっては、お二人がわかりやすく尖っている印象はなかったと思うので意外でした。

文田 もし、あのまま尖り続けていたら、その尖りがM-1で刺さって、決勝に行ったり、好成績を取っていた可能性もあります。その世界線の自分も見てみたいとは思うのですが、住みます芸人での気づきがなかったら、NGKやルミネの本公演に出ても、ウケずに恥をかいていたかもしれません。だから、住みます芸人をやって良かったなと思ってます。

――なるほど。根建さんはどうですか?

根建 2010年のМ-1ですね。準決勝まで勝ち上がって、8位になれば決勝進出のところ、10位までいけたんです。前の年に優勝したパンクブーブーさんが準決勝では9位で、敗者復活でも勝ち上がったので、その次の順位だったのは、“ここまで来れたんだ”って感覚がありましたね。

野球でいったら、プロにはなれなくても、甲子園に出たぐらいはいけたのかなと思いました。2010年でM-1が一旦終了したので、もしかするとそこで手応えがなかったら辞めちゃっていたかもしれない。そのタイミングで活動を続けていきたいと思える結果を出せたのは良かったです。